第231話 リーダーの矜持

「なんだぁ!? もしかしたらお前、ラウムじゃねぇのか!?」


「お前まだくたばってなかったのかよ! ヒャッヒャッヒャッ!」 


「おぉっ!? なんだお前!? キレイ所そんなに引き連れて!? 誰でもいい! 一人回せよ! ヘッヘッヘッ!」


「ラウム、お前でもいいぜ! 相変わらずエロい体しやがって! 今日こそは俺のもんにしてやらぁ! ゲヒャゲヒャゲヒャ!」


 前言撤回...ギルドに入った途端絡まれた...下卑た嗤いを浮かべた柄の悪い連中だ。話から察するにラウムさんの元パーティーメンバーってとこか。


 セリカさんとステラさんの時も似たようなことはあった。だがお二人の時とは比較にならない程この連中は腐っているように思う。


 ラウムさんはこんな連中と良く我慢して組んでいられたものだ。ある意味尊敬に値する。


 だがそんなことより私はとにかく激怒していた。手を繋いでいるルキノちゃんが怖がっている。ラウムさんが申し訳無さそうに唇を噛んでいる。こんなのパーティーリーダーとして黙ってる訳には行かないだろ?


「喧しい! その臭ぇ口を今すぐ閉じやがれ! このチンカス野郎どもがぁ! ウチのパーティーメンバーを愚弄しやがるとタダじゃおかねぇぞ!」


 私は連中の前に出てそう言い放ってやった。もちろんルキノちゃんを亜空間に送り込んでからだ。こんな汚い言葉を聞かせたくないからね。ちなみにルキノちゃんには何度も亜空間を体験して貰っているから慣れたものだ。


「な、なんだぁ!? この小娘がぁ! 舐めた口叩きやがって! ぶっ殺されてぇのかぁ!」


 私の言葉に一瞬呆けた連中だったが、我に返ったリーダーらしき男が私に詰め寄る。


「出来るもんならやって見せろやぁ! このインポ野郎がぁ!」


 もはや売り言葉に買い言葉、一触即発の気配が漂ったその時だった。


「止めんか、お前ら! ギルドの中でなにを騒いでいる!?」


 騒ぎを聞き付けたのか、ギルドマスターが駆け付けて来た。私達を取り囲んだ連中と、それに対峙している私の姿を見て瞬時に状況を把握したようだ。


「またお前らか...俺は言ったよな? 今度なにか面倒を起こしたら冒険者資格を剥奪すると? それで!? 一体なにがあったんだ!?」


「い、いや、マスター。大したことはないんだよ...ちょっとジャレ合っていただけで...なぁ?」


 途端に連中のリーダーらしき男が慌てて媚を売るように私を見る。こんな連中でも冒険者資格を剥奪されるのは怖いらしい。というより既にリーチが掛かっていた程の札付きの悪らしいな。


 だったら遠慮は要らないよね?

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