第225話 カリナ、要らない子

 ラウムさんと話しながら上空を舞うステラさんを眺めていると、さっきまでゆったりと飛んでいたステラさんが突然、ある地点の上空で旋回し始めた。


「どうやら見付けたみたいですね」


「あぁ、そのようだ」


「ここからだと結構距離がありそうですね」


 そんなことを話していると、ステラさんがこっちに飛んで来て一声、


「クエッ!」


 と鳴いた。そして私達を誘導するかのようにゆっくり飛び始めた。


「早速行きましょうか。セリカさんはもう亜空間に入ります?」


「い、いえ、それはさすがに申し訳ないので...アナコンダの近くまでは自分の足で歩きます...」


「分かりました」


 こうして私達は湿地帯に足を踏み入れたのだった...のだが...



◇◇◇



「待てセリカ! その先は底無し沼になっている!」


「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ! そ、そうなんですか~! ラウムさん、ありがとうございます~!」


「カリナさん! その葉っぱに触れてはなりません! 猛毒を含んでいます!」


「へっ!? そ、そうなんですか!? わ、分かりました! アスカさん、ありがとうございます!」


 とまぁ、こんな感じでハッキリ言って私とセリカさんはお荷物でしかなかった。聞けばアスカさんとラウムさんのお二人は、この湿地帯に以前は別の仕事でそれぞれ来ており、それなりに苦労を強いられたので詳しくなったんだとか。


 先輩冒険者達のありがたい訓示を受けながら、私達はステラさんの誘導に従ってゆっくりと湿地帯を進んで行く。


 小一時間ほど歩いただろうか、


「ここからは静かに。そろそろ現場に到着しそうだ」


 先頭を歩くラウムさんが指示を下す。私はまずセリカさんを亜空間に放り込んでから身構えた。


 上空を見上げるとステラさんがホバリングしている。どうやら現場に到着したようだ。


 茂みの中からそっと前方に視線を向ける。居た! アナコンダだ! ちょっとした沼地のようになった場所で、その巨体を水の中に半ば沈めながらゆったりと寛いでいる。


 それにしてもデカい! なんて大きさだ! 全長10mを超えると依頼書には書いてあったが、近くで見るともっともっと大きく感じる。胴体回りの太さなんてちょっとした成人男性のウエストくらいあるんじゃないかな?


「居たな。しかしまぁ、良くもここまで育ったもんだ」


「恐らく50年以上は軽く生きているでしょうね。じゃないとあそこまで大きくならないでしょう」


「だろうな」


「どう殺ります?」


「アナコンダは皮が高く売れるからなるだけ傷付けたくない。一撃で仕留めるからアスカ、魔法でこっちに誘導してくれないか?」


「分かりました」


 ...なんだか私抜きで先輩達がドンドン話を進めて行くんだけど...


 もしかしたら私って要らない子!?

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