第206話 新しい仲間2
「ラウムさん、聞いても良いですか?」
私はオークを解体しているラウムさんに話し掛けた。
「なんだ?」
ラウムさんは手を止めずに応える。
「そんなにお強いのになぜお一人なんですか? ラウムさん程の腕があれば、色んなパーティーから誘われたんじゃありませんか?」
「あぁ、それはな...」
ラウムさんは解体の手を止めて悲し気な表情を浮かべた。
「私が獣人だからだ」
「もしかして...差別とかされたんですか!?」
「まぁそんなところだ...」
「そうなんですか...でもステラさんはそんなこと言ってなかったような...」
「さっきの彼女か? 鳥の獣人だと言う?」
「はい、ステラさんが以前入っていたパーティーでは、獣人だからって差別されたというようなことは聞いてなかったと思います」
「まぁ人によるってことだろうな。私が入っていたパーティーでは獣人を快く思わない輩が居てな。随分と差別されたものだ。私だけ成功報酬を減らされたりセクハラやパワハラを受けたりな...」
「それは...お辛かったですね...」
そっかぁ...獣人に対する差別や偏見はかなり改善されたって聞いてたけど、完全になくなった訳じゃあないんだね...
「過ぎたことだ。それにこうやって一人で居る方が気が楽だしな」
そうやってラウムさんは寂し気に笑った。だから私は...
「あの...良かったら私達のパーティーに入りませんか?」
思わずそう言っていた。
ステラさん、セリカさん、ゴメンね...しっかり面談するって言っといて...でもこのラウムさんは悪い人じゃあないと思うんだ。
「君達の?」
「はい、実は今ちょうど剣士と魔道士の方を求人してまして。ギルドに張り紙もしてあるんですよ。ラウムさんほど腕が立つ方なら大歓迎です。如何でしょうか?」
「それは...ありがたい話だが...君の一存で決めて良いのか?」
「もちろん他の二人にも意見を聞きますよ? あ、ちょうど戻って来ましたね。ステラさん、セリカさん、ちょっとお話が」
「なんでしょう?」
「どうしました?」
私はお二人にラウムさんのことを説明し、パーティーメンバーに誘ったことを伝えた。
「それは...同じ獣人として許せないですね...私は賛成します」
「私もです。私は獣人じゃないけど同じ女として許せませんね」
「ありがとうございます。ラウムさん、お二方とも賛成してくれました。如何ですか?」
「...忝ない...お世話になることにしよう。これからよろしくお願いする」
こうして新しいメンバーが加わった。
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