第207話 最早お約束の
それからお三方でオークの解体を始めた。
初めての共同作業というヤツだ。私? だから手伝わないってば!
「お疲れ様でした」
共同作業を続けている最中に、お互いの能力等に関して紹介し合ったようだ。私も聞き耳を立てていたが、どうやらラウムさんはステラさんと同じ脳筋タイプのようで、魔法は使えないとのこと。ある意味予想通りだね。
オークの解体が終わった辺りで完全に日が暮れたので、今日はここで野営することにした。
私はまず馬車と馬を亜空間に放り込んでから、ステラさん、セリカさんの順で亜空間に放り込んだ。
「それじゃあラウムさん、初めての亜空間にようこそ」
そう言って私はラウムさんの体に触れて、亜空間に引っ張り込んだ。
「ここが亜空間か...なんとも不思議な場所だな...」
初めて来た人は大体同じ反応を見せる。ラウムさんは物珍しそうに周りを見渡していた。
「ラウムさん、改めまして我が『エリアーズ』にようこそ!」
「歓迎します!」
「よろしくお願いします!」
夕食の席で改めて挨拶を交わす。ラウムさんはまだ戸惑いながらも、
「よろしくお願いする。しかしこれは凄いな...まさか野営しながらこんな美味いメシにありつけるとは思わなかった...」
セリカさんの時間停止能力にビックリしているみたいだ。まぁ無理もない。某レストランの出来立てホカホカの料理がいきなり出てくるんだから。セリカさんのドヤ顔は鬱陶しいが...
「ちなみにラウムさんってお幾つなんですか?」
「私は19歳だ」
「そうなんですか。じゃあこの中じゃ一番お姉さんですね」
「そうなのか?」
「えぇ、私は10歳なので」
「私は15歳です」
「私は18歳です」
「なるほど...んん!? 今なんて!?」
うわぉ、この反応は最早デフォルト。
「10歳なんです」
「...マジで!?」
「マジです...」
「マ・ジ・で!?」
「マ・ジ・で・す」
「...私が10歳の頃なんてまだ鼻垂らしてたぞ...」
「...ラウムさん、それには激しく同意します...」
「...私、お人形さんを抱かないと眠れませんでした...」
「...あぁ、分かる分かる...私も夜一人でトイレに行けなかった...」
「...私なんてたまにオネショして親に怒られていたり...」
「...懐かしいな...」
「...えぇ、ホントに...」
「...あの頃はピュアでしたね...」
え~と...この空気、私は一体どうすれば良いんだろう...
私はお三方が遠い目をしているのを、黙って見ているしか出来なかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます