第200話 頂きます

「か、カリナさん、いくらなんでもそんなに食べられませんよ...」


「どこの相撲取りですか...」


 お二人が呆れたような目を私に向ける。


 失敬な! ちゃんと考えてやってることだってのに!


「セリカさん、収納している料理かなり減ってるでしょ? 次の冒険に備えて補充しといて下さいよ?」


 ダンジョンで何泊もしたから結構消費したはずだよね。


「次の...」


「冒険...」


 ありゃ? お二人のテンションが低いな。もしかして今回の稼ぎだけで満足しちゃってる?


「当然でしょう? なんのために装備を充実させたと思ってるんですか? せっかく苦労して手に入れた装備を使わないなんて宝の持ち腐れじゃないですか?」


「それは確かにそうなんですが...」


「もう危険なことはしたくないかも...」


 なるほど。やっぱりある程度は満足しちゃっているのか。だからちょっと弱気にもなっちゃっているんだな。


 ここは一つ気合いを入れますかね。


「ステラさん、セリカさん、そもそもダンジョンを攻略したいって最初に言ったのはお二人の方ですよ? もう忘れちゃいましたか? それにこの程度の稼ぎなんて、ちょっと良い家に引っ越してちょっと贅沢しただけですぐ無くなりますよ? もっと良い生活もしたいでしょ? もっと贅沢もしたいでしょ? だったらもっともっと稼ぎましょうよ? 私達ならそれが可能なんですよ?」


「うっ...そ、それは...」


「た、確かに...」


 良し良し。もう一息かな。


「それに次の冒険に出る前には、パーティーメンバーを募集して増やそうと思っています。もちろん女性限定で。具体的には剣士と魔道士が欲しいですね。やっぱり前衛と後衛は必要だと思いますんで。特に今回の件で魔道士は必須だと思いました」


 出来れば攻撃と治癒の魔法両方を使える人が良いんだけど。高望みし過ぎかなぁ。そんな人がフリーで残ってたりしたら最高なんだけどなぁ。


「なるほど...」


「それなら...」


 やっとお二人がその気になってくれたか。私は出来上がって来た料理がテーブルに所狭しと並べられるのを見ながら、


「さぁさぁ、冷めない内に食べましょうか。この後もあることだし」


「この後?」


「なにかありましたっけ?」


「あと5軒くらいはレストランをハシゴしますよ? 同じ味ばっかりじゃ飽きちゃうでしょ?」


 違う味の料理も楽しみたいからね。どうせなら和洋中全て制覇したいもんだ。


「うへぇ...」


「ぐへぇ...」


 お二人がウンザリしたような顔をしたのは見なかったことにする。


 頂きま~す♪

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る