第194話 ダンジョン攻略35

「す、凄い...こんなに呆気なくフロアボスを倒しちゃうだなんて...」


 ステラさんは倒したって言ってくれてるけど、実際は巨大モグラの自滅だからねぇ。素直に喜んでいいのか微妙なところだよねぇ。


「カリナさん! 私一生付いて行きます!」


 本当にセリカさんは現金な人だな...あれだけ私を非難しといてコロッと掌返しするんだもんな...私は苦笑しながら、


「では解体をお願いしますね?」


「へいっ! 喜んで!」


 どっかの居酒屋か。



~ 5分後 ~



「すいませんカリナさん、私達の刃物じゃ刃が通りません...カリナさんの黒い剣を貸して貰っていいですか?」


「こんなに硬い体皮は始めてです...」


 お二人が苦労しているようだ。さすがはフロアボス。死んでも厄介だね。


「それは構いませんが、私の剣でも刃が通らなかったですよ?」


「あれは体の表面だったでしょう? 今は仰向けにひっくり返って死んでますから、お腹の柔らかいはずの部分が剥き出しになっているんです。我々の刃物ではその部分でも歯が立ちませんが、カリナさんの剣ならと思いまして」


「なるほど。そういうことでしたか。どうぞどうぞ」


 私は黒い剣をステラさんに渡した。


「ありがとうございます...おぉっ! 凄い凄い! バターを切るみたいに簡単に切れますよ!」


「ステラさん! 私にもやらせて下さい!」


 お二人がキャッキャッ言いながら解体している。私は我関せずとばかりに明後日の方向を向いてお茶を飲んでいた。血を見たくないからね。やがて...


「す、凄い...こんなに大きな魔石を見たの私初めてです...」


「うんしょ! こらしょ! だ、ダメだ...持ち上がらない...ステラさんはどうですか?」


「やってみます...フンッ! だ、ダメです...どうしましょうか...」


 やれやれ...なにやってんだか...私は明後日の方向を向いたままこう言った。


「セリカさ~ん、無理して持ち上げなくてもそのまま収納しちゃえば良いじゃないですか~?」


「あっ! そうでした! エイッ! 終わりました! カリナさん、ありがとうございます!」


「どういたしまして」


 フゥ...全く世話の焼ける...


「あ、巨大モグラの爪はドロップアイテムのようです。セリカさん、これも収納をお願いしますね」


「へいっ! 喜んで!」


 だからどっかの居酒屋かっての。


「フゥ...どうやらこれで終了のようですね」


「はい! 完璧です!」


 向こうは終わったようだな。


「お疲れ様でした。ところでステラさん、フロアボスを倒したらこの部屋から出れるんですよね?」


 私は巨大な扉の前に来ていた。


「はい、そう聞いてますが」


「この扉、押しても引いてもビクともしませんけど?」


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