第193話 ダンジョン攻略34

「どどどどうしましょう!」


「セリカさん、落ち着いて下さい。もしかしたら私の亜空間の中だから、瞬間移動が発動しないのかも知れません。ちょっとだけ亜空間を解除しますから、もう一度試してみて下さい」


「わ、分かりました!」


「行きますよ? 3、2、1、今っ!」


 私達はボス部屋の真ん中辺りに現れた。幸い、巨大モグラは土の中のようだ。


「行きます! エイッ!」


 シーン×3...


「な、なんでぇ!?」


 ここでも瞬間移動が発動しない。セリカさんが涙目になる。


「もしかしたらこのボス部屋は、閉鎖された空間なのかも知れませんね...」


「ステラさん、それって巨大モグラを倒す以外、外に出る方法は無いってことでしょうか?」


「かも知れません...」


「どどどどうするんですかぁ!」


 その時、私達の声に反応したのか巨大モグラが地面に出て来た。


「取り敢えず亜空間に避難しましょうか」


 私はお二人を亜空間に引っ張り込んだ。今更だけど、閉鎖空間の中でも私の亜空間は使えるんだね。良かったよ。これも使えなかったらとっくに全滅してた。


「それでどうしましょうか...」


「だから言ったじゃないですかぁ~! 止めた方が良いってぇ~! どうするんですかぁ~!」


 ついにセリカさんが泣き出した。


「まぁまぁ、落ち着いて。なんとかなりますって」


「落ち着いてなんていられませんよぉ~! なんともならないでしょうがぁ~!」


 セリカさんが半狂乱になってる。


「カリナさん、なにか考えがあるんですか?」


「まぁ一応は」


「聞かせて下さい」


「まずは昼寝でもしましょう」


「ひ、昼寝!?」


「ふざけてるんですかぁ~!」


「ふざけてませんよ」


 失敬だな君!


「知ってます? モグラって物凄い大食漢なんですよ。1日に食べるエサの重さは体重の半分くらいと言われていて、胃の中に12時間以上食べ物がないと餓死してしまうんだそうです。だからここでなにもせず待ってるだけで、勝手に餓死するんじゃないかって思ってます。閉鎖された空間ならエサも無さそうですしね」


「そうなんですか...知りませんでした」


「凄い! カリナさん物知りなんですね! これでなんとかなりそうですね!」


 途端にセリカさんの機嫌が良くなった。全くもって現金な人だな...


「という訳で寝ましょうか」

 

 三人で川の字になって昼寝した。疲れていたのかすぐに寝付いた。


 そして約半日後、私達がボス部屋を覗いてみると、


「どうやら上手く行ったようですね」


 目論見通り、餓死した巨大モグラの亡骸がボス部屋に転がっていた。

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