第190話 ダンジョン攻略31

 サハギンが浮島に次々と上陸して来た。


「ギャッ! ギャッ!」と騒ぎながらセイレーンの亡骸を取り囲む。その姿はまるでセイレーンを守るかのように、その死を悼んでいるかようにも見えた。


「魚が自ら陸に上がって来てくれましたよ。これはチャンスですね」


 しかもサハギンは全員がセイレーンの亡骸に注目していて、私達に背を向けている。私はいそいそと亜空間から出て攻撃しようと思っていたら、


「カリナさん、私にもやらせて下さいよ」


「あぁ、そうでしたね。ステラさんも一緒に行きましょうか」


 私とステラさんは亜空間から出てサハギンを一匹また一匹と始末して行った。特に私はずぶ濡れにされた恨みがあるから、かなり荒っぽくやっていたと思う。程なくサハギンは全滅した。


「それじゃあセリカさん、解体ショーをお願いしますね?」


「いやいや、マグロじゃないんだから...」


 半分魚だし似たようなもんじゃないか。


「このサハギンが持っていた三ツ又の槍はドロップアイテムのようですね」


「ホントですか!? サハギン、20匹くらい居ますよ!?」


「えぇ、大量GETですね。それとセイレーンが付けていたこのペンダントもドロップアイテムのようです」


「これは...アクアマリンですかね? キレイな宝石ですね」


 どうやらこの階層はドロップアイテムが充実しているらしい。私達はホクホクしながら全て回収した。


 セリカさんの解体が終わったところで、


「ちょっと早いけどお昼にしましょうか」


 いったん休憩を挟むことにした。


「それにしてもドロップアイテム増えましたよねぇ」


 私はサンドイッチを頬張りながら、ドロップアイテムを保管しているスペースを指差した。


「これだけで一財産稼いだような気がします」


 そう言ってステラさんが目を細める。


「そんなにありますか?」


「えぇ、だから言ったじゃないですか? ダンジョンの方がお金になるって。安定してこれだけ稼げるんなら、護衛専門にならなくてもダンジョンだけの稼ぎで十分暮らして行けると思いますよ?」


 う~ん...ステラさんの言うことにも一理あるとは思うんだけど、ウチらって攻撃特化型でもなければ魔法特化型でもないんだよなぁ。例えるならなんだろ? バランス重視型って感じなのかな?


 なんにしても、いざっていう時にはすぐに窮地に陥ったりするパーティーなんだよね。実際死にかけた訳だしね。


「まぁ、その話はダンジョンを出てからゆっくり考えることにしましょう」 


 今はダンジョンの攻略に集中しないとね。

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