第184話 ダンジョン攻略25

「この階層は亜空間から出ないようにしましょうか」


 私はサラマンダーの解体を終えたお二人にそう言った。


「そうですね。その方が良いかも知れませんね」


「魔物が出る度に亜空間へ逃げ込んでますもんね...だったら最初っからそうしておいた方が良いですよね」


 という訳で亜空間を進むことになった。


 しばらく進むと、


「あれはなんですか?」


 前方の天井から何かぶら下がっている。


「あぁ、あれは吸血コウモリですね」


「吸血ということは、読んで字の如く血を吸う訳ですね?」


「えぇ、それも毒というか病原菌を持っているので、咬まれると酷い目に合うらしいです」

 

「具体的には?」


「血が止まらなくなったり、高熱を出して寝込んだりするって聞いてます。しかも群れで襲って来るので質が悪いです」


 それは確かに厄介だな。


「分かりました。戦わずスルーしましょう」


「えぇ、そうした方が良いと思います」


 私達は吸血コウモリをやり過ごして先に進んだ。


 またしばらく進むと、


「あれはなんですか?」


 前方になにやら黒い物が蠢いている。


「あぁ、あれは吸血ヒルですね」


「また吸血系ですか...」


「えぇ、あれも吸血コウモリと同じで、咬まれると厄介です」 


「じゃあこれもスルーの方向で」


 これまたやり過ごして先に進む。


 またまたしばらく進むと、


「あれはなんですか?」


 前方に人の格好をした魔物が現れた。


「あれは...なんでしょうか...」


 ステラさんでも分からないのか。


「な、なんか黒いマントを着てたりしてません?」


 セリカさんが目を凝らす。


「確かに。魔物にしては珍しいですね」


 良く観察して見ると、体格は大人の男の人と同じくらい。耳が尖っていて顔色は青白い。目は真っ赤で怪しく光っている。そして長く伸びた二本の鋭い犬歯が生えている。


「ステラさん、どうします? 戦ってみますか?」


「そうですね...ちょっとやってみましょうか」


「あんまり強く無さそうですよね...」


 いや、セリカさんに比べたらどんな敵でも強いと思うけど...可哀想だから黙っておこう。


「それじゃあ行って来ます」


「お気を付けて」


「頑張って下さい!」


 ステラさんが亜空間から出て黒マントと対峙する。


 次の瞬間、黒マントの姿が消えた。


「へっ!?」


 私達が呆気に取られている間、


「くっ!」


 ステラさんが苦し気な表情を浮かべる。


「ステラさん!?」


 いつの間に移動したのか、黒マントはステラさんとの間合いを一気に詰めて、ステラさんに襲い掛かっていた。


 鋭い牙がステラさんに迫る。

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