第180話 ダンジョン攻略21

「外の様子はどうなっているんでしょうか?」


 セリカさんが亜空間を見渡しながらそう言った。


「あぁ、そういや可視化モードになっていなかったですね。そんな余裕は無かったから」


 私はすぐに亜空間を可視化した。


「どうやら私達の姿が急に消えたんで、右往左往してるってとこですかね」


 リッチを初めとして、アンデッド軍団が部屋中を徘徊している。


「ステラさんが痺れから復活したら、このまま亜空間を通って脱出しますか。ダンジョンでの冒険はここまでってことで」


 危うく死に掛けたからね。さすがにお二人も納得してくれることだろう。


 と思っていたら...


「あ、あの...私もちょっとだけ戦ってみたいんですが...ダメですかね?」


「セリカさんが!? どうやって!?」


 ポンコツなのに。


「離れた位置からなら、リッチを弓矢で狙えるんじゃないかな~? って思ったりしまして...」


 そりゃ確かに離れていれば、リッチの魔法は届かないだろうさ。弓矢での攻撃は有効かも知れないさ。ただ大事なことなんでもう一度言うが、セリカさんはポンコツだ。


「セリカさん、攻撃ってのは当たらないと意味無いんですよ?」


「わ、分かってます! が、頑張りますから!」


「ハァッ...仕方ないですねぇ...一回だけですよ?」


「あ、ありがとうございます! 絶対に当てて見せますよ!」


 なぜか知らんがセリカさん、自信満々なんだが...その自信はどっから来るんだろうか...


「ステラさん、痺れの具合はどうですか?」


「お陰様で大分痺れは取れて来ました」


「良かったです。じゃあもうちょっと休んでて下さい」 


「ありがとうございます」


「セリカさん、弓矢だけ亜空間から出るようにしましたから、リッチを狙って下さいな」


「ありがとうございます! 行きま~す!」


 スカッ!


 うん、分かってた...


 そりゃあ急に上手くなる訳ないよね。リッチも躱すまでもなく余裕で避けて...


「ヒョオゥ!?」


 余裕が無いみたいだ。攻撃されて焦っているように見える。


「セリカさん、攻撃を続けて下さい」


「わ、分かりました!」


 スカッ! スカッ! スカッ! スカッ!...


 何度攻撃しても、セリカさんの攻撃はリッチに掠りもしないのだが、攻撃される度に慌てるリッチは、無闇矢鱈と魔法をぶっ放している。


 その魔法は全てアンデッド軍団に向かい、当たる度にアンデッド軍団の数を次々と減らして行った。気付いたら残るのはリッチだけになっていた。


「セリカさん、上手いこと同士討ちを誘導できましたね。肝心のリッチには掠りもしないけど」


「うぅ...それは喜んでいいんでしょうか...」


 微妙なとこだね。


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