第179話 ダンジョン攻略20

「...さん...」


「カリナさん! カリナさん!」


 ...誰かが私の名前を呼んでいる...


 誰だっけ? ここどこだっけ?


「カリナさん! しっかり!」


 あぁ...そうだった...思い出した...私達はもう少しで全滅する所だったんだっけ...


「あぅ...せ、セリカしゃん...」


「あぁっ! 良かった! カリナさん、気が付いたんですね!」


 セリカさんが泣きじゃくりながら私に抱き着く。私はまだ体が痺れて動けない。


「セリカしゃん...ステラしゃんは?」


「無事ですよ! 安心して下さい! まだ意識を失ってますけど、ちゃんと息はしてますから!」


「良かった...」


 そこでまた私は意識を失った。



◇◇◇



 再び目を覚ました時、やっと体が動くようになっていた。


「あ痛たたた...」


 だがまだ体中が痛かった。


「カリナさん! 動いても大丈夫なんですか!?」


 私に気付いたセリカさんが慌てて寄って来る。


「えぇ、なんとか...すいません、ご迷惑をお掛けしました...」


「なに言ってるんですか! カリナさんのお陰でみんな助かったんですよ!」


「そうですよ。カリナさんが居なかったら私達は...本当にお世話になりました...」


 ステラさんが声を掛けて来た。


 良かった...まだ横たわってはいるけど、意識を取り戻したみたいだ。


「ステラさん、大丈夫ですか?」


「えぇ、やっと少しずつ痺れが取れて来ました。もうすぐ動けると思います」


「本当に良かった...でも無理はしないで下さいね?」


「えぇ、カリナさんも」


 そして私はセリカさんに向き直って、


「セリカさん、本当にありがとうございました。あの時、セリカさんが助けに来てくれなかったら、きっと私達は死んでました。さっき、助かったのは私のお陰だなんておっしゃってましたけど、本当の功労者はセリカさんです」


「そうだったんですか!?」


「えぇ、私とステラさんの二人を連れて瞬間移動してくれたんです。本来ならご自分ともう一人しか連れて行けない所を無理をして...だからセリカさんは私達の命の恩人なんです。本当に...本当にありがとうございました...」


「セリカさん、私からもお礼を言わせて下さい。本当にお世話になりました」


「そ、そんなぁ! や、止めて下さいよ、お二人とも! は、恥ずかしいじゃないですか~!」


 セリカさんが照れて真っ赤になってる。


 本来ならもっともっと自慢しても良い所なのに。それをしないで私達のことだけを気遣ってくれる。


 そんなセリカさんのことがますます好きになった。


 セリカさん、本当にありがとう。

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