第177話 ダンジョン攻略18

「ど、どうしましょうか...」


「ん~...取り敢えず親玉を先に倒しますか。見た所あんまり強そうでもないし」

 

 黒いフードの下はスケルトンみたいな骸骨だったからね。見た目は弱そうに見えた。だから私は、いつも通り亜空間を通ってリッチの後ろに出ようとしたんだけど、


「カリナさん! 注意して下さい! リッチは魔法を使う魔物です!」


 ステラさんが叫ぶ。


 あぁ、そういや生前は強い魔法使いだったんだっけ。


「分かりました。死角から攻撃してみます。ダメだったらすぐに逃げます」


 私はリッチに後ろから襲い掛かった。黒い剣を振り翳す。


 ガキインッ!


 髪一重! リッチに杖で防がれた!


 確かに一筋縄ではいかない相手みたいだね。私の死角からの攻撃に反応したのは、アクセル様を狙った刺客の男以来か。


「ヒョホウッ!」


 リッチがまた奇声を上げた。


「カリナさん! 逃げて!」


「へっ!?」


 なんか足元が冷たい!?


「どわっ!?」


 あ、危なかった! 間一髪! ちょっとでも亜空間に避難するのが遅れたら、私は間違いなく氷漬けにされていた。


 ついさっきまで私が居た場所は、まるで氷の花が咲き乱れているようになっている。氷で出来た蔓がウネウネと這い回っていて、あれに絡め取られそうになったんだと気付いた。


「ステラさん、ありがとうございます...」


「いえ、ご無事でなによりでした...」


 本当に危なかったよ...


「ど、どうしましょう...ま、魔法を使うなんて...」


「セリカさん、落ち着いて下さい。策はあります」


「カリナさん、策とは?」


「ステラさんと私、二人同時に別方向から攻撃するんです。そうすればどちらかの攻撃は当たると思いません?」


「...確かに...両方向からの攻撃には対処できないかも知れませんね...」


「タイミングを合わせましょう。それとセリカさんも一緒に」


「わ、私もですか!?」


「えぇ、もし私がやられたらセリカさんは亜空間で餓死しちゃいますから、私達と一緒に出るんです。出たらすぐに瞬間移動で遠くに逃げて下さい」


「えぇっ!? で、でも! お二人を置いてそんなこと...」


「なぁに、万が一に備えてですよ。大丈夫! 絶対上手く行きますって!」


 私は殊更に明るくそう言った。


「うぅ...分かりました...お二人ともどうかご無事で...」


 セリカさんは今にも泣き出しそうだ。


「ではタイミングを合わせましょうか。ステラさんは右、私は左に、セリカさんは真ん中に位置取りして下さい」


「分かりました!」「わ、分かりました...」


 お二人が位置に着くのを待ってカウントを開始する。


「行きますよ! 3、2、1、ファイアー!」


 私達は一斉に亜空間から踊り出た。

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