第176話 ダンジョン攻略17
「魔法ですか...」
「ま、魔物が魔法を使うんですか!? そ、そんな知恵を持った魔物が居るんですか!?」
「えぇ、ここからはそういった魔物が出るエリアになります。十分注意して進みましょう」
「分かりました...」
「な、なんだか怖くなって来ました...」
セリカさんの言う通り、私も若干怖くなって来たな...いきなり魔法をぶっ放して来る魔物が出るかも知れないとしたら...
「お二人とも、私の近くから離れないで下さいね? セリカさん、私の亜空間退避がもし間に合わなかったら、一人で逃げて構いませんからね?」
「そ、そんなこと!」
「いきなり全滅するよりマシです。そうして下さい」
「わ、分かりました...」
もちろんそうならないように、油断をするつもりは微塵も無いけどね。私だって死にたくないし。でも万が一ってことは常に考えておかないとね。
◇◇◇
少し歩くとただっ広い空間に出た。その空間は他の場所とかなり違っていた。
「なんでしょうあれは? 蝋燭でしょうか?」
壁に等間隔で蝋燭の炎らしき灯りが点っている。それがずっと奥まで続いていて、一番奥の方には何やら祭壇らしき物があるのが見える。
「ここはまるで何かの儀式を行う場所みたいに見えますね...」
「気味が悪いです...」
私達がその空間に足を踏み入れた瞬間、一陣の風が吹いて蝋燭の炎を揺らした。何が来る! 私は本能的にそう感じた。
「皆さん! 私の側から離れないで下さいね!」
ステラさんとセリカさんが私の両脇に寄った。その刹那、
「ヒョオゥ!」
そんな奇声と共に祭壇らしき物の下から、黒いローブを纏った何かが現れた。手には何やら杖のような物を持っている。
「あれは...リッチ...」
「ステラさん、知ってるんですか? リッチって?」
「私も直接見るのは初めてです。生前、強力な魔法使いだった者が、稀少な材料などを用いた儀式を通じて永遠の命を得たと言われています。別名『アンデッドの王』とも呼ばれていると...」
ステラさんの言葉通り、そのリッチが杖を掲げると、
「グワオッ!」
いきなり地面から腐った死体だのスケルトンだのグールだのが湧いて来た。中には全身に包帯を巻いた者まで居る。ついでにゴーストまで空を飛び初めた。
私は有無を言わさずお二人を亜空間に引っ張り込んだ。
「なるほど...確かに『アンデッドの王』みたいですね...」
アンデッドを使役しているみたいだもんね。
「これはじゃあまたモンスターハウスですね...」
アンデッドがこれでもかって言うくらいうじゃうじゃ居るもんね...
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