第174話 ダンジョン攻略15

「なんかますます暗くなって来ましたね...」


「えぇ、気味が悪くなって来ました...」


 ダンジョンの奥に進むに連れ、辺りは次第に明度が落ちて来た。


「松明を使いましょうか。これじゃあ足元も覚束無い」


 私は亜空間から松明を引っ張り出して火を点けた。


「カリナさん、松明なんて持ってたんですね?」


「えぇ、備えあれば憂い無しですから」


 懐かしいな。これって実家から夜逃げした時に持って来たヤツなんだよね。結局使わなかったけど。


「ん? なんか変な音がしませんか?」


 ステラさんが耳を澄ます。


「ホントだ...カタカタカタって何か硬い物を叩いてるみたいな!?」


 セリカさんが同調する。だが私は耳が悪いのか良く聞こえない。


「そうなんですか? どっちから聞こえます?」


「この奥からです」 


「じゃあ私が先頭に立ちます」


 私は松明を掲げて先頭に立った。松明の明かりに照らし出されたのは、


「ひっ!?」


 セリカさんが短い悲鳴を上げる。


「あれは...スケルトンですね」


 骸骨が動いていた。手には古ぼけた剣や盾を装備している。それもうじゃうじゃと蠢いている。


「エイッ!」


 私は黒い剣を一閃した。


 ガラガラガラと音を立ててスケルトンが骨の塊になって行った。


「相変わらずその剣の威力は凄いですね...」


「カリナさん、無敵なんじゃないですかね...」


 お二人がそんなことを言う。いやぁ、それ程でも~


「ところでこのスケルトンって魔石とかあるんですかね?」


 この階層に来て初めて戦った腐った死体みたいなのは、この黒い剣で攻撃したら消滅しちゃったからね。ゴーストも同じく。形が残ったのは初めてなんだよ。


「スケルトンはドロップアイテムしか収穫はありません」


「そうなんですね。ちなみにどんなドロップアイテムなんですか?」


「大体は剣とか盾なんですが、見る限りどれもボロボロで使い途無さそうですね」


「なるほど。では先に進むとしましょうか」


 更に奥に進むと今度は少し明るくなって来た。


「松明必要ありませんね」


 私は松明を亜空間に放り込んで先に進む。


「ん!? なんだこれ!?」


「どうしました!?」


「なんか足元がぬるぬるするんですよ」


「本当だ。まるで湿地帯のようですね。皆さん、足元に注意して下さい」


 ステラさんがそう言った時だった。


「グボァッ!」


 湿地から何かが飛び出て来た。


「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!」


 セリカさんが悲鳴を上げる。


「これは...グールですね...」


 ステラさんが解説する。


「グールとは?」


「食人鬼です。気を付けて! 囲まれています!」


 見ると確かに私達はグールの群れの中に居た。

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