第173話 ダンジョン攻略14

「ひょわあああっ!」


「せ、セリカさん!? ど、どうしました!?」


 最後尾を歩いていたセリカさんが突然叫び出した。ちなみに最前列がステラさんでその後ろが私だ。


「い、今、な、何かが私の首元をスウッと撫でて行ったんですぅ~!」


 セリカさんが涙目になっている。


「あぁ、それはきっとゴーストですね」


「ゴースト!?」


「幽体のことです。実体は無くフワフワ浮いていて、良くちょっかいを掛けて来るんですが、特に害は無いんで放置しても大丈夫ですよ?」


「...ステラさん、そう言いますけど...やられた方は気味悪いですよ...なんとかなりませんか?」


 セリカさんが食い下がる。


「そう言われましても...物理攻撃は効かないですし、魔法は聖属性か光属性じゃないとダメージを与えられないですし...」


「どっちも持ってませんねぇ」


 ウチら魔法に特化したパーティーじゃないからねぇ。ちなみにステラさんは全く魔法が使えないそうな。獣人族はそういう人が多いらしい。だからステラさんみたく脳筋の人が多いってことなんだってさ。


「害は無いなら無視して行きましょうよ。セリカさん、最後尾が嫌なら真ん中に位置しますか? それならちょっかいは掛けられないかも知れませんよ?」


「カリナさん、ありがとうございます! そうさせて貰いますね!」


 そうして隊列を変更したんだが、


「ひょわあああっ! こ、今度は足元からぁ~! も、もう嫌ぁ~!」


 どうやらセリカさんはゴーストにターゲットロックオンされたらしい。


「困りましたねぇ。セリカさん、亜空間に入りますか?」


「すいません、お願いします...」


 セリカさんを亜空間に放り込んだ。


 するとゴーストは次に私をターゲットに選んだようだ。ゴーストが首元をすり抜ける際、確かにゾワッとする。これは確かに気味悪い。


「エイッ!」


 物理攻撃は効かないってステラさんが言ってたから、無駄と知りつつも黒い剣を振り回してみた。そうしたら、


「あれ!? ゴーストが消滅した!?」


「えっ!? 本当ですか!?」


「多分...ステラさんも一緒に見て貰えますか?」


「分かりました」


 またゴーストがフワフワ浮いて来たので、私は黒い剣を一閃した。


「ヤァッ!」


「ほ、本当だ...ゴーストが消滅した...カリナさん、その剣本当に凄いですね...実体の無い物まで斬れるなんて...」


「えぇ、私もビックリしました...でもこれでゴーストは怖くないですね。セリカさん、もう大丈夫ですよ」


 セリカさんを亜空間から出して、また三人揃ってダンジョンを進んで行った。

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