第172話 ダンジョン攻略13

「ギルドで鑑定して貰わないとハッキリしたことは言えないと思いますが、少なくとも呪われたアイテムというような感じはしませんね」


「ステラさん、そう思う根拠はなんですか?」


「以前に呪われているというアイテムを見たことがあります。それはもう近くに寄るだけで寒気を覚えるような禍々しい物でした。でもこの剣からはそのような感じは一切受けません。逆にどちらかというと清々しい感じを覚えるというか。だからなんとなくそう思いました」


「なるほど...言われてみればそうかも知れませんね」


 そう言って私はレイピアを外し、黒い剣を新たに装備してみた。うん、やっぱりレイピアより軽い。


「か、カリナさん! い、いきなり装備して大丈夫なんですか!?」


 セリカさんが慌ててる。


「大丈夫でしょう。ほらこの通り、装備したからって外せなくなる訳じゃないし」


 そう言って私はいったん装備を外してまた付けたりを繰り返して見せた。更に亜空間に収納してまた取り出して見せたりもした。


「ね? 問題無いでしょう? それにドロップアイテムだからきっとこの剣は強いと思うんですよね」


「確かにそうかも知れませんけど...」


 まだ懐疑的なセリカさん。

 

「取り敢えず先に進んでみませんか? 階層が深くなるに連れ魔物が強くなるなら、この剣を試し斬りしてみたいです」 


「そうですね。行きましょうか」



◇◇◇



~ ダンジョン8階層目 ~


「なんかこの階層、薄暗くありません?」


「確かに...他の階層に比べて全体的に暗いですよね...」


「ここはアンデッドが良く出る階層になりますから、少し明度が落ちているらしいです」


「アンデッドって...つまりあんなのですか?」


 私達の目の前には腐った死体のような魔物がうじゃうじゃと蠢いている。


「ひっ!?」


 セリカさんが息を呑む。


「えぇ、あんなのです。気を付けて下さいね? 噛まれると色々な状態異常、毒とか混乱とかを引き起こしますから」


「分かりました」


 黒い剣の試し斬りにはちょっと弱っちい相手だけど、私は前に出て剣を一閃する。


「えっ!?」


 すると一閃しただけで魔物の群れがキレイに消滅した。


「す、凄い...い、一撃で!?」


「その剣、範囲攻撃が可能なんですね...さすがはドロップアイテム...」


 私も驚いた。凄いねこれ! 呪われてるのかな? なんて思って本当に申し訳なかった。


 この剣はこれからダンジョンを更に先へ進むのにも、大いに役に立ってくれそうだね。


 私は剣をそっと撫でて「これからよろしくね」と心の中で祈った。

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