第171話 ダンジョン攻略12

 ステラさんも手伝ってなんとか魔物の群れの解体を終えた。


 私? ゴーレムだけ手伝ったよ? なぜなら血が流れなないから!


「フゥ...やっと終わりましたね...」


「つ、疲れました...」


「お疲れ様でした。ちょっと休んでから先に進まましょうか」 


「えぇ、そうしましょう」


「あれ? あんな所に宝箱がありますよ?」


 セリカさんが指差す先を見ると、確かに広間の隅の方に宝箱がある。


「本当だ。最初っからありましたっけ?」


「どうでしょう...戦闘に夢中で気付きませんでした」


「もしかしたら、モンスターハウスをクリアしたから現れたのかも知れませんね」


「ということは、ドロップアイテムってことでしょうか?」


「そうかも知れません」


「早速開けてみましょうか?」


 宝箱に近付くセリカさんをステラさんが慌てて止める。


「待って下さい! ギミックの可能性もあります!」


「ギミック!? 箱を開けようとしたらいきなりガブッと来るヤツですか!?」


「えぇ、そうです。ダンジョン内に出現する宝箱は全て油断なりません」


「なるほど...セリカさん、私がやってみますんでちょっと下がって下さい」


「カリナさん、どうするんです?」


「こうするんです」


 私は離れた位置から宝箱を亜空間に収納できるかどうか試してみた。


「あ、亜空間に収納できますね。ということは無生物ということです」


「そうなんですか!?」


「えぇ、生物だと私が直接触れないと亜空間に収納できないんです。宝箱は離れた位置からでも亜空間に収納できましたんで、少なくとも無生物であることは確かですね」


「カリナさん、本当に凄いです...」


 いやぁ、それ程でも~


「じゃあ今度こそ開けても大丈夫でしょうか?」


 セリカさんが恐る恐る宝箱に近付く。


「あぁ、セリカさん、ちょっと待って下さい。念のため私がやります」


 私はレイピアを抜いてその先っちょを宝箱の蓋に差し込む。何も無いだろうとは思うけど念のための用心としてね。


「じゃあ開けます」


 そしてレイピアをゆっくり上げてみた。蓋は何事も無くすんなり開いた。宝箱の中を覗き込んでみる。


「これは...剣ですかね」


 中には柄の部分が真っ黒なやや細身の剣が入っていた。そっと手に取ってみる。


「うわ、ビックリするほど軽いな...」


 剣にしてはレイピアより軽いくらいだ。その重さに驚く。


「刀身まで真っ黒ですよ...」


 鞘から抜いたら真っ黒な両刃の刀身だった。


「呪われてたりしないですよね...」


 私は思わずそう呟いていた。

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