第167話 ダンジョン攻略8

「ハァッ! ヤァッ!」


 ステラさんがミノタウロスと対峙する。一対一ならなんとか戦えそうだね。


「グモゥッ!」


 加勢しようとするミノタウロスの前に赤いスカートをフリフリして気を逸らす。セリカさんがもう一枚持っていたので手伝って貰う。


「セリカさん、ヤバくなったら瞬間移動で逃げて下さいね?」


「わ、分かりました!」


「グモゥッ!」


「ほらほら~♪ お牛ちゃん、こっちこっち~♪」


「こ、こっちこっち~...で、でも出来たらあんまりこっちに来ないでぇ~!」


 セリカさん、ちょっとへっぴり腰だけどなんとかなりそうだね。


「グモゥッ!」


 ステラさんがミノタウロスを一頭倒した。


「ステラさん、ちょっと休んで下さい」


 私はステラさんを亜空間に引っ張り込む。


「ハァッ...ハァッ...あ、ありがとうございます...あれ? セリカさんは?」


「逃げてます」


「へっ!? あ、瞬間移動で...」


「えぇ、ところでどんな感じでした?」


「そうですね...一対一ならなんとか...でもそんなに数は熟せそうにありません...」


 確かにそうみたいだね。一頭倒しただけで疲労困憊って感じだもん。


「分かりました。もう止めますか?」


「...いえ、ギリギリまでやってみようと思います」


「そうですか。無理はしないで下さいね?」


「えぇ、そうします」


「もうちょっと休んで下さい。私はセリカさんを回収して来ます」


「分かりました」



◇◇◇



 私は亜空間を進んでセリカさんを探す。ミノタウロスの群れはモーモー鳴きながら動き回っている。


「さてと、セリカさんはどこまで逃げたのかな?」


 しばらく歩くと、赤いスカートを持ったセリカさんがなにやら地面に屈んでいるのが見えた。


「セリカさん、どうしました?」


「あぁ、カリナさん。これってなんだと思います?」


「それは...魔法陣ですか!?」


「やっぱりそう思いますよね?」


「えぇ、これってなんでしょうね? 来る時は無かったですよね?」


「はい、無かったです。あったら気付いてますよ。淡く光ってるし」


「ということは、我々がミノタウロスと対峙したから現れたと。セリカさん、どう思います?」


「う~ん...私ではなんとも...ステラさんに聞いてみましょう」


「そうですね。ステラさん、疲れているところ申し訳ないですが、ちょっと見て貰えます?」


「どうしました? ...これは! 転移魔法陣です!」


「転移魔法陣ってなんですか?」


「ダンジョンの任意の場所に転移することが出来る魔法陣です」


「任意の場所というと?」


「先に進むため、つまり次の階層に進めるということです」


 なるほど。それは便利だな。

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