第168話 ダンジョン攻略9

「じゃあこの転移魔法陣に乗れば次の階層に進めるんですね?」


 するとステラさんが顔を顰める。


「えぇ、ただし次の階層のどこに出るのか分かりません。いきなり敵のど真ん中に出ることもあります」


「なるほど。諸刃の剣ってことですね?」


「えぇ、そういうことです。どうしますか?」


「私は転移してみたいと思います。セリカさんは?」


「わ、私も賛成です! もう牛は見たくないです...」


 よっぽどミノタウロスがトラウマだったみたいだね。


「じゃあ乗りましょうか。お二人とも念のため私の手を握って下さい。敵のど真ん中に出たらすぐ亜空間に避難しますから」


「「 了解! 」」


 私達は転移魔法陣に乗った。


 その途端、目を開けていられない程の目映い光に包まれた。



◇◇◇



~ ダンジョン7階層目 ~


 薄らと目を開けるとダンジョンの薄暗い屋内が見えて来た。


「どうやら敵のど真ん中ではなかったようですね」


「良かったです...」


「なんだかヤケに静かですね...」


 見渡した限りは敵の姿は見えない。


「安地かも知れません」


「安地ってなんですか?」


 また訳の分からん単語が。


「魔物が現れない安心できる場所のことです」


「それは良いですね。ここで一泊しましょうか」


「えっ!? もうそんな時間なんですか!?」


「セリカさん、気付いてなかったんですか? もう夜ですよ?」


 私はセリカさんに時計を見せる。


「ほ、本当だ...全然気付かなかった...言われて初めてお腹が空いていること気付いたくらいですよ...」


「ダンジョンの中に潜ると時間の感覚が狂いますからね。時間をちゃんと把握して休むことは大事です。カリナさんはダンジョンが初めてなのにしっかり出来ていますね。凄いと思います」


「いやぁ、それ程でも~」


 なんか照れちゃうね~ ただ単にお腹空いたから時間を確認したってことは内緒にしておこうか。


「じゃあ亜空間に入りましょうか」


 私はお二人を亜空間に引っ張り込んで夜営の準備をした。


「お腹空きましたね~」


「カリナさん、良かったらこれを焼いて食べませんか?」


「これは...何の肉ですか?」


「ミノタウロスとケンタウロスの肉です。両方とも一番美味しい部位を取っておきました」


「いいですね! 炭火焼きにしましょう!」


 私は亜空間から七輪と備長炭を出した。


「「「 頂きま~す! 」」」


 美味しいお肉に三人で舌鼓を打ち、昼間の疲れを十分に癒した。


「「「 美味しい~♪ 」」」


 その夜は美味しい食事をたっぷり取って、三人ともグッスリと眠った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る