第152話 ダンジョン侵入

「じゃあステラさん、行きましょうか」


「......」


 完全に上の空だな。


「お~い、ステラさ~ん」


「はっ!? す、すいません! ちょっとボーッとしてました!」


「やっぱり心配ですか?」


「...えぇ、あんな別れ方をしましたが、確かに一度は仲間だった人達ですから...」


 セリカさんも似たような表情を浮かべている。ついこの間、同じ思いを味わっているから尚更だよね。


「だったらダンジョンに行きましょうか?」


「えっ!? いいんですか!?」


「えぇ、セリカさんもそれでいいですよね?」


「はい、もちろんです!」


「カリナさん、ありがとうございます...」


「じゃあセリカさん、早速」


「い、嫌です!」


 なんでやねん! 行く言うたやろ!


「瞬間移動の繰り返しで行くのは嫌です! 馬車で行きましょう馬車で!」


 あぁ、それを嫌がってたのね。怪訝な顔をしているステラさんに説明する。


「魔力が空っぽになる所だったんですからね! あんな苦しい思いは二度とゴメンです!」


「安心して下さい。今回はステラさんが居ますから、飛んで行きますよ。だからセリカさんは亜空間でのんびりしてて下さいな」


 そう言って私はセリカさんを亜空間に放り込んだ。


「じゃあステラさん、行きましょうか」


「あ、はい。あの...カリナさん、いつもこうしておけば、セリカさんを一人残して飛ばなくても良いんじゃないですか?」


「それはダメです。万が一、私が死んだりしたら、セリカさんは亜空間から出られず餓死してしまいますから。こういった移動手段は緊急時だけにしてます」 


 もしもの場合のことは常に考えておかないとね。何事にも絶対なんて有り得ないんだから。


「あぁ、なるほど...理解しました」


「それじゃあ行きましょうか」


「はい、服を脱いで来ますね」


 こうしてまたしてもダンジョンに行くことになった。



◇◇◇

 


「いやぁ、まさにひとっ飛びでしたね~」


「わ、私はあんなに苦労したのに...」


 セリカさんがボヤいてる。空を飛ぶって凄いね。ダンジョンまであっという間だったよ。


「お待たせしました。じゃあ入りましょうか」


 服を着て来たステラさんが合流した。


「ダンジョンの入口は静かですね」


 私達はダンジョンに侵入した。


「そういやこのダンジョンって何階層まであるんです?」


「えっと確か...最高到達地点は60階層だと聞きました」


「そうですか。彼女達は何階層くらいまで行ってるんでしょうね?」


「あんまり深い階層まで行ってないといいんですが...」


 ステラさんは心配だろうな。


 1階層目は全く魔物の姿は見えない。私達は2階層目に至る階段に辿り着いた。

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