第151話 心配

「ところでステラさんはあのパーティーで偵察担当だったんでしたっけ?」


「えぇ、あの『女神の風』での私の役割は主に偵察でした」


「えっ!? 今なんて!?」


 聞き慣れない単語が!?


「えっと...『女神の風』っていうパーティー名でして...」


「...セリカさん、パーティー名ってこういうイタイ名前が多いものなんですかね...」


「アハハ...」


 元『ペガサスの翼』のセリカさんが乾いた笑いを浮かべる。


「ステラさんが居なくなって苦労してるといいですよね」


 私は意地悪な笑いを浮かべる。


「う~ん...どうなんでしょう...彼女達、王都に戻って来たってことは、ダンジョンに再挑戦するのかも知れません」


「再挑戦?」


「えぇ、私が居た頃にも一度挑戦したんですが、その時は散々な結果だったんです」


「というと?」


「まず私はダンジョンとか洞窟とか屋内では空を飛べませんから、全く役に立たなかったんです。それであっという間に魔物に囲まれちゃって酷い目に遭いました...」


「あぁ、なるほど...」


「だから索敵魔法が使える人を新しく入れたんですね」


「えぇ、そういうことになります」


「またダンジョンですか...」


 私がふと呟いたのに気付いたステラさんが怪訝な顔をする。なので例のスタンピードの件に関してサラッと説明した。


「そんなことがあったんですね...」


 ステラさんが驚いたような表情を浮かべる。


「スタンピードを止めちゃうなんて...やっぱりカリナさんは凄いです...」


「いやぁ、それ程でも~」


 照れちゃうな~


「あの...カリナさんが居ればダンジョンの攻略も可能なんじゃ?」


「攻略はしませんからね!」


「あ、そうなんですね...」


 全くもう! スキあらば魔物を倒したがるんだから!



◇◇◇



「今日も依頼ありませんね~...」


「仕方ない。今日も森に行って魔物を狩りますか」


 翌日、冒険者ギルドでそんなことを言っていた時だった。


「あれ!? ステラ!?」


「えっ!? あ、シャロン!? 久し振り~!」


 どうやらステラさんの知り合いの冒険者らしい。


「あれ!? あんたミランダ達と一緒じゃなかったの!?」


「あぁ、うん...ちょっと色々あってね...」


「ふうん、てっきりミランダ達と一緒にダンジョンに潜っているのかと思ったよ」


「ミランダ達、やっぱりダンジョンに向かったの?」


「うん、昨日言ってた。そういやまだ戻って来ないね」


「そうなんだ...」


「今、ダンジョン内はスタンピードの後だから、魔物が多くて大変なのかもかね~」


「......」


 ステラさん、黙り込んじゃったよ。


 なんだかんだ言って心配なのかな?


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