第144話 新しい環境

「また新しい女が...」「全くもう...どれだけ誑し込めば気が済むんでしょう...」「しかも今度のは大人の魅力に溢れてますわよ...」「強力なライバル出現ですわね...」


 なんだろう? マリス様とクリス様がなにやらコソコソ話してるんだけど? 声か小さくて良く聞こえないや。


「は、ハックション!」 


「あ、ステラさん、その格好じゃ風邪引いちゃいますよね? でも困ったな...私達の服じゃサイズが合わないだろうし...」


 ステラさん、ボンキュッボンのナイスボディだもんねぇ。


「羨ましい...」


 セリカさんがボソッと呟く。確かに憧れるよねぇ。私? 私はこれからだもん。まだまだ成長期ですから。


「あ、それなら、さっき私がゴブリンの群れに囲まれた辺りに、私のリュックがあるはずなんです」


「そうなんですか?」


「えぇ、鳥に変化する時は予め服を脱いでおくんです」


「なるほど。じゃあ見に行ってみましょうか」



◇◇◇



「あ、ありましたよ。これでしょ?」


 やたらめったらデカいリュックが、ステラさんの居た木の辺りに置いてあった。


「あぁ、それです! 良かった~!」


「凄い荷物ですね?」


 とても私にゃ持ち上がらないわ。ステラさん、意外と力持ちなんだね。


「えぇまぁ、夜営道具やらなにやら色々詰め込んだらこうなりました」


 苦笑しながらステラさんはリュックから着替えを取り出した。


「では行きましょうか。さっき説明した通り、私達は護衛任務で王都まで向かいますんで。ステラさんは怪我を治す意味でも客席に乗って下さいね」


「ありがとうございます。よろしくお願いします」



◇◇◇



 その後は特に魔物が出ることもなく、日が暮れたんで野営することにした。


「しかしこの亜空間ってのはホント凄いですよね~」


 ステラさんが周りを見渡しながら、しみじみといった感じで感想を述べる。 


「アハハ、ありがとうございます。でもセリカさんの空間魔法も凄いんですよ?」


 セリカさんが収納している食べ物を出す。


「えっ!? 湯気が出ている!? 温かい!」


「えぇ、私の収納魔法は時間が停止するんで温かい物は温かいまま、冷たい物は冷たいままなんです」


 セリカさんがえっへんとばかりに胸を張った。胸はあんま無いけど。


「凄いです! こんな野営なんて夢のようですよ!」


 うんうん、そうだろうそうだろう。ステラさん、ウチらの仲間になって良かったでしょ? 


 これからずっとこんな感じだからね。冒険も楽になるでしょ? 今まで苦労してたみたいだから、その分も楽して欲しいよね。

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