第143話 新しい仲間
「ステラさんは一人で冒険者活動してるんですか?」
「えぇまぁ...以前はパーティーに入っていたんですが...」
途端にステラさんの歯切れが悪くなった。なんか訳ありなのかな?
「なにかあったんですか?」
「...お前はもう役立たずだから要らないって言われちゃいまして...」
セリカさんが息を呑む気配が伝わって来た。他人事とは思えないだろうから無理もないよね。
「それはどういった理由なんです?」
「ご覧の通り、私は空を飛べますので、斥候として上空からの偵察を行って、敵である魔物の位置を味方に知らせる役目を担ってました」
「なるほど。貴重な戦力だと思いますが?」
敵の位置を知るって大事だよね。戦略も立て易くなるし。それを要らないってどういうことだろ?
「それが...新たに索敵魔法を使える人を入れるから、お前は用無しだと...」
ステラさんが落ち込んじゃった。
「索敵魔法ってなんですか?」
「読んで字の如くです。音波を発してそれが跳ね返って来ることで、前方になにがあるか予測するって魔法です」
セリカさんが解説してくれた。
「へぇ~! そんな便利な魔法があるんですね~!」
知らなかったよ。
「でもあくまで予測ですよ? 合ってる場合もあるだろうけど、間違ってる場合だってある。そんな不確かなものに頼るより、ステラさんが目で確認した方がよっぽど確かだと私は思います」
「ありがとうございます...私もそう言ったんですが、聞く耳を持って貰えず...役立たずはとっとと出て行けと...」
「そんなの許せませんね! ステラさん、そんなヤツらと縁が切れて逆に良かったですよ! ステラさんは役立たずなんかじゃないです!」
セリカさん激おこである。自分の境遇に重ねたんだろうな。
「ありがとうございます...そう言って頂けると救われた気がします...」
ステラさんの目に涙が浮かぶ。きっと辛かったんだろうね。
「私もそう思います。なのでステラさん、良かったら私達のパーティーに入りませんか?」
「えっ!? そ、そんな...わ、私なんか...」
「ステラさん、なんかって言うの止めましょう。もっと自分の能力に自信を持って下さい。少なくとも私達はステラさんが居てくれたら心強いです。ね? セリカさんもそう思いますよね?」
事後承諾だけどセリカさんなら分かってくれるよね。
「もちろんです! 歓迎しますよ!」
「あ、ありがとうございます~!」
ステラさんが号泣しちゃった。よしよし、泣かないで。
こうして新しい仲間が増えた。
ステラさん、ようこそ『エリアーズ』へ!
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