第142話 鳥の獣人

「カリナさ~ん! 遅いんで心配しましたよ~!」


「すいません、ご心配お掛けしました」


「何かあったんですか?」


「実は...」


 私は事の詳細を説明した。


「それって...鳥の獣人なんじゃないですか!?」


 セリカさんがビックリしたような顔でそう言った。


「獣人ですか!? 私、見たこと無いです」


 存在してるってのは知ってるんだけどね。


 獣人は元々数が少ない種族だし、人間に迫害されてた歴史もあるから、大体が山奥とか人目に付かない場所に隠れ住んでて、滅多に人里には降りて来ないって聞いたけど。


「私の領地には獣人の集落がありましたから、子供の時に見たことがあります」


 マリス様がそう言った。


「私は直接見たことはありませんか、領地の人に聞いた話だと獣人の行商人がたまに物を売りに来ることがあるんだそうです」


 クリス様も続いた。


 フムフム、別に隠れ住んでるって訳じゃないみたいだね。


「私は前のパーティーに居た頃、狼獣人の冒険者に会ったことがあります。メチャクチャ強かったですよ?」


「そうなんですね。その人も狼に変身したんですか?」


「いえ、変身はしてなかったです。変身しなくても元々身体能力が高いんで、普通の人間よりも強いらしいですね」


「なるほど...あっ! 気が付いたみたいです。皆さんもお会いになりますか?」


 全員が頷いたので亜空間に引き込んだ。



◇◇◇



「うっ!? こ、ここは!?」


「気が付きましたか? ここは私の魔法で作り上げた場所なんで安全ですよ。安心して下さい。何があったか覚えてますか?」


「あっ...確か...ゴブリンアーチャーに翼を射抜かれて...地面に降りた所を今度はゴブリンメイジの魔法で攻撃されて...そこからは記憶が...」


「なるほど。私が到着した時、あなたがゴブリンの群れに囲まれていたのはそういう訳だったんですね。間に合って良かったです」


「えっ!? ということは...あなたが私を助けてくれたんですか?」


「はい、そうです。申し遅れましたが、私は冒険者のカリナと言います」


「私はステラと言います。私も冒険者をやっています。助けて頂き本当にありがとうございました!」


 その後、全員と挨拶を交わした。その間、私はこのステラさんという人を良く観察してみた。


 雪のように真っ白な髪に赤い瞳。目鼻立ちが整った美人さんだ。日焼けしているのか肌は少し黒くて健康的な印象を受ける。


 ちなみに今は全裸にバスタオル一枚という色っぽい姿だ。


「ステラさん、傷の具合は如何ですか?」


「手当てまでしてくれたんですね! 重ね重ねありがとうございます! お陰様で痛む所はあまりありません!」


「良かったです。ところでステラさんは鳥の獣人なんですか?」


「はい、その通りです!」


 やっぱりそうだったみたいだね。

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