第140話 百合って!?
魔物を無事倒した後は解体タイムだ。
当然セリカさんの出番な訳だが、なぜか護衛対象であるお二方まで参加していなさる。
マリス様曰く「領地では動物や魚を捌いてましたからね。お手の物ですよ」とのこと。
そしてクリス様は「私も領地で鶏を絞めたり猪を捌いたりしてましたからね。軽い物ですよ」とのこと。
なんともまぁ逞しいお嬢様方である。逆に「なんでカリナさんは出来ないんですの?」って言われちゃって答えに窮した。
勘弁してつかあさい...血が吹き出すとか内臓が飛び出るとかのスプラッタ系はホントに無理なんですってば...
そんなこんなあって夜営の時間になった。いつものように亜空間に馬車含めて全員を引き込んだ。
夕食を済ませ、さぁ寝ようかって段になってちょっと揉めた。
「カリナさん、ささ、私の隣に」
「いえいえ、私の隣に」
なぜかマリス様とクリス様が火花散らしてんだけど...
「...仕方ないですわね。じゃあ川の字で」
「...しょうがないですわね。妥協しましょう」
どっちも譲らなかった結果、そういう結論に達したらしい。だが、
「あ、すいません。セリカさんと交代しながら見張りをするんでパスで」
「「 えぇ~!? 」」
いやそんなに不満な顔されても...仕方ないじゃんね? 仕事中なんだから。
「なんであんなに私と一緒に寝たがるんですかね?」
ちょっと気になったんで、お二方が寝静まった頃セリカさんにコソッと聞いてみた。
「...カリナさん、百合って知ってます?」
「百合の花ですか? もちろん知ってますよ。キレイな花ですよね。私結構好きですよ。で? 百合の花がどうかしました?」
「...やっぱりいいです...」
なんだろう!? セリカさんが微妙な顔して黙っちゃったんだけど!?
◇◇◇
次の日は一転して魔物の襲撃はなかった。盗賊が襲って来ることもなく、そろそろ日が暮れる。王都までは馬車で2日だから、明日には到着する予定だ。
今夜の野営場所を決めようとしている時だった。
「うん? あれは...」
前方に何か居る。
「どうしました? 魔物ですか?」
「えぇ、ゴブリンっぽいんですが、こっちを狙ってるんじゃないみたいなんです」
「もしかして誰か他の人が襲われてるんでしょうか?」
「ここからじゃ良く分かりません。ちょっと見て来ますんで、セリカさんはお二方のこと頼みます」
「わ、分かりました。お気を付けて」
冒険者ならともかく、襲われてるのが普通の旅行者だったらヤバいもんね。
私は現場に急行した。
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