第137話 ボーナス

 結局その日の夜は、ギルドマスター達と一緒に野営することになった。


 翌朝、私とセリカさんは『ペガサスの翼』が乗って来た馬車に便乗させて貰って、王都まで帰ることにした。 


 客席が一杯だったので、私は遠慮して御者席に乗ることにした。セリカさん達には積もる話もあるだろうからね。


 そうしたらあのマックスの野郎、恥も外聞も無くセリカさんに戻って来て欲しいとか抜かしやがるから、本気で殴ってやろうかと思った。


 自分達で理不尽にパーティーから追い出しといて今更なに言ってんだか。まさかとは思うが、情に絆されてセリカさんが戻るって言い出さないか、ちょっと心配ではあった。セリカさん優しいから...


 だがセリカさんは、きっぱりハッキリ戻るつもりは無いって断言してくれたんで、私も内心とてもホッとした。


 そうこうしている内に王都に到着した私達は、冒険者ギルドの建物内で別れた。

 

 マックスはだけはまだ性懲りもなく、すがり付くようにセリカさんを見てるから、私はさっさとギルドマスターの部屋にセリカさんを引っ張って行った。


 スタンピードを防いだ功績として、臨時報酬が出るらしい。


「本当に良くやってくれた。これはギルドからの謝礼金だ。受け取って欲しい。君達に救われたのは二回目だな。ありがとう。君達を誇りに思うよ」


 最大級の賛辞を受け取って嬉しいやら恥ずかしいやら。とにかく懐が温かくなったんで、私達は予てより約束していたナタリアさんとヒルダさんのお店に行って、たっぷり買い物しようって話になった。



◇◇◇



「カリナさん! セリカさん! お久し振りです! 来てくれたんですね!」


「お久し振りです、ナタリアさん。今日は色々と買い物させて貰いますね」


「どうぞどうぞ! ゆっくり見て行って下さい!」


 ナタリアさんのお店は主に衣料品とアクセサリー類を扱っているらしい。私とセリカさんは従業員割引ってことでかなりサービスして貰った。


 ホクホクしながら大人買いをたっぷりと堪能した後は、ヒルダさんのお店にナタリアさんと一緒に向かった。


「ナタリアさん、お店の方は大丈夫なんですか?」


「えぇ、従業員に任せて大丈夫です。さぁ、行きましょう!」


 店に着くとナタリアさんの時と同様に、ヒルダさんも大歓迎してくれた。ヒルダさんのお店は主に食料品と雑貨を扱っているらしい。そこでも従業員割引にして貰ったので爆買いした。


 そのままの勢いで四人で夕食を共にすることになり、みんなして楽しい夜を過ごしたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る