第135話 スタンピード終息
「魔物の皆さ~ん♪ こっちこっち~♪ 人間はここに居ますよ~♪」
「ぐああっ!」
こうやって魔物の注意を惹き付けてからギリギリで亜空間に避難する。
「こっちこっち~♪」
「ぐおうっ!」
これを何度か繰り返してゆっくりとダンジョンの外に誘う。そうやって挑発を続けていると、次第に魔物の群れは大きくなっていった。スタンピード一歩手前といったところか。
「ほらほら~♪ 人間はここですよ~♪」
やがてダンジョンの外に出た。辺りは大分暗くなって来ている。今なら引っ掛かってくれそうだ。
「ぐあおっ!」
魔物の群れの先頭が迫って来る。だが今度は亜空間に避難しない。顔だけ外に出している。なぜなら、
「ぐあっ!?」
そう、私が今居るのは断崖絶壁のちょうど真上だ。つまり私を追って来た魔物の群れは漏れなく崖下に転落する。
「どうしたんですか~? 私はまだここに居ますよ~♪」
更に煽る。魔物の群れはどんどん加速し、次々に崖下へと転落して行く。
「さぁさぁさぁ~♪ まだまだ私は元気ですよ~?」
魔物の群れが更に加速した。中には昼間戦ったオーガなど大型の魔物も混じって来るようになった。これはもうスタンピードと呼んでいいんじゃなかろうか?
「ぐあああっ!」
魔物の群れは益々数を増して行く。
「ほらほらほら~♪ 早く来ないと私は逃げちゃいますよ~♪」
益々煽る。魔物の群れは止まることなく崖下へと落ちて行った。やがて...
「どうやらここが群れの最後尾みたいですね」
最後にバカデカいゴーレムが崖下へと落ちて打ち止めとなった。私はダンジョンの入口まで戻って確認してみたが、もう魔物がやって来る気配はなかった。
「スタンピードを防げたと思っていいんですかね?」
私では判断が付かないので、セリカさん達に聞いてみることにした。
「セリカさ~ん、今戻りました~」
「か、カリナさん...凄いです...あんな方法でスタンピードを止めちゃうだなんて...」
「あぁ、そのことなんですけど、本当にスタンピードが止まったかどうか分かる人って居ます?」
私はセリカさんの昔の仲間達に向かって尋ねた。すると全員が顔を見合わせて首を横に振った。
「すまん...俺達じゃ判断が付かない...」
マックスが代表してそう言った。
「そうですか。じゃあギルドマスターの到着を待つしかないですね。魔物も居なくなったし、野営しながら待ちましょうか」
私は亜空間を解除した。
その後、野営に適した場所が見付かったのでテントを張ることにした。
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