第134話 作戦

「せ、セリカ! お前が助けに来てくれたんだな! あんな酷いことした俺達なのに...ありがとう! ありがとう! そして...ゴメンな...」


「マックス...それにみんなも無事だったんだね...良かった...」


「「「 セリカ~! 」」」


 うんうん、良かった良かった。これで一安心だね。でもまだ終わりじゃない。再会に喜んでいるところ悪いけど、状況を把握しとかないとね。


「あの、いいですか? ダンジョンですが、今にもスタンピードが発生しそうな状況なんでしょうか?」


 するとマックスが代表して答える。


「多分なんだが、そうなんだと思う。俺達は魔物の間引きの依頼を受けてここに来たんだが、魔物の数があまりにも多くて...こりゃヤバいと思って引き返そうとしたんだ。でもベスのヤツが魔力切れを起こして動けなくなっちまって...そしたら俺達の荷物やら装備やらが急に重くなっちまって...」


「やっぱり動けなくなったと?」


 マックスは力無く頷いた。


「ハァッ...そうなることくらい予想できたでしょうに...自業自得ですね。セリカさんを追い出したバチが当たったんですよ」


「面目ない...」


「まぁ取り敢えず、傷薬はありますから使って下さいな」


「忝ない...」


「見た所、重傷を負った人は居ないようですね?」


「あぁ、アンタのお陰で助かった。これ、凄い魔法だな...」


「それはどうも。ただこれも、あなたがバカにしたセリカさんのと同じ空間魔法なんですけどね」


 全く同じではないけどね。嫌味の一つでも言ってやりたくなったんだよ。


「そ、そうなんだ...」


 そこで私はいったん外の様子を可視化してみた。


「さて、状況は分かりました。ご覧の通り、魔物の数は増える一方ですので、スタンピードも間近だと思われます」


 外の状況を確認した全員の顔が青くなる。


「か、カリナさん...ど、どうしましょう...」


「落ち着いて下さい。この中に居れば安全です。もうすぐギルドマスターが援軍と共に駆け付けてくれるはずですので、魔物も倒してくれることでしょう」


 私がそう言うとみんなはホッとした顔になった。


「でもギルドマスター達にばかり魔物を押し付けるのも心苦しいので、私もちょっとお手伝いして来ようと思います。皆さんはここでゆっくりしてて下さいね?」


「か、カリナさん! わ、私も行きます!」


「セリカさんはまだ魔力が回復してないでしょう?」


「うぅ...そ、そうですけれど...」


「お気持ちだけ頂きますね」


「か、カリナさん...」


「大丈夫。ちゃんと作戦は考えありますから。心配しないで下さいな。じゃあちょっと行って来ますね」 


 そう言って私は魔物の群れと対峙するため一人で亜空間の外に出た。

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