第132話 ダンジョンへ
「スタンピードかぁ...大変そうですよねぇ...私達には関係無いけど」
私達はオーガの魔石やドロップアイテムを換金した。魔石もそうだが金棒を高く引き取って貰えてホクホクしているところだ。
「......」
「セリカさん?」
「......」
「どうしました?」
「...ハッ! す、すいません!」
「心ここに有らずって感じですね? 何かあったんですか?」
「...その...ダンジョンには今『ペガサスの翼』の連中が行ってるなぁって思って...」
「あぁ...」
セリカさんは優しいね。自分を追放したパーティーのことを心配してるんだ。
「気になりますか?」
「...全く気にならないと言えばウソになります...曲がりなりにも仲間でしたからね...彼らが私のことをどう思っているかはともかく...」
そう言ってセリカさんは俯いてしまった。
うん、これは私が後押ししてあげるべきだよね。このまま放っておくのはセリカさんのためにならない気がする。
「だったら行ってみましょうか?」
「えっ!? で、でも...」
「心配なんでしょう?」
「.. ギルドマスターの言い付け破るんですか?」
「バレなきゃいいんですよ。行きましょう? そんなセリカさん見てられないですよ?」
「...カリナさん...ありがとうございます...」
こうして私達はコッソリとダンジョンに向かうことにした。
◇◇◇
「カリナさん、でもどうやってダンジョンまで行くんですか? 馬車だと目立っちゃいますよね?」
「そこはセリカさんの出番じゃないですか!」
そう言って私はセリカさんの肩を抱いた。
「へっ!? わ、私の!?」
「セリカさん、目に映る範囲までなら瞬間移動できるんですよね? それを繰り返して移動しましょう!」
「む、無理ですよ! と、途中で魔力が底を突きます!」
「大丈夫大丈夫! 行ける所まで行きましょう! 魔力が底を突いたら私が亜空間に匿いますから! さぁ、急ぎましょう!」
「だ、大丈夫かな..」
不安そうなセリカさんを促して、私達はダンジョンを目指して移動を開始した。
◇◇◇
10回目の瞬間移動を終えた辺りで、
「も、もう無理です...ま、魔力が持ちましぇん...」
「ではここでいったん休憩しましょう。ダンジョンまであとどれくらい掛かります?」
私はセリカさんを亜空間に引き込み、そう尋ねてみた。
「...良く分かりませんが、3分の1くらいは来たと思います...」
「なるほど。じゃあ30分休憩したらまた移動を開始しましょうか」
「鬼ですか~!?」
人聞き悪いな? セリカさんが行きたいって言ったクセに。
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