第128話 役割分担
「あの...セリカさん!?」
「うぅ...ゴメンなさい...私って本当にバカでドジでノロマな亀で...」
「セリカさん、そのセリフを理解できる人は相当にお年を召した方です...って、そうじゃなくて! 次行きますよ次!」
「は、はいぃ...」
次とは言ったものの...ゴブリンやコボルトより弱い魔物ってなんか居たっけか? 思い付かないんだけど...
私は頭を抱えながら取り敢えず森の奥に進んだ。
「うん!? あれは!?」
見ると前方にオークの群れが居た。こっちには気付いてない。オークは豚頭人身の怪物で、大きさは人間の大人の男の人と同じくらい。
デップリとしたお腹に太い手足。手には棒切れみたいなのを持ってたり持ってなかったり。
うん、間違ってもセリカさんでは倒せそうにないね。だからここは私の出番か。
「セリカさん、今んとこ何も倒してないから無報酬なんで、取り敢えず私があのオークどもを倒します。セリカさんは見学していて下さい。私の戦い方をしっかりと見てて下さいね?」
「わ、分かりました...」
私は亜空間にセリカさんを引き込んで一部を可視化してから、そっとオークの群れに近付いた。群れは全部で5頭。真ん中に居る一回り大きいヤツが恐らく群れのボスだろう。
だから私は真っ先にボスを倒すことにした。いつものようにコッソリ背後に回り込んでから首の後ろの急所にレイピアで一撃。
「プギャッ!?」
ボスを呆気なく倒した。すると群れが混乱してバラバラに動き出す。そんなオークどもを一頭ずつ着実に倒して行く。
あっという間にオークの群れは全滅した。
「ざっとこんなもんです」
「す、凄いですぅ~! カリナさん、尊敬しちゃいますぅ~!」
いやそんなキラキラした目で言われても...なんか照れちゃうね。あぁでも...倒したはいいけど...忘れてたよ...解体しなきゃなんないんだよね...うげぇ...やりたくないなぁ...
私がオークの亡骸の前で途方に暮れていると、
「フンフンフン~♪」
なんて鼻歌を歌いながら、セリカさんが実に手慣れた様子で解体を始めた。ビックリ!
「せ、セリカさん!? か、解体できるんですか!?」
「へっ!? そりゃ冒険者だから当然できますけど!? 寧ろ雑用係としてこき使われてましたからね。解体なんてお手の物です」
「す、凄いですぅ~! セリカさん、尊敬しちゃいますぅ~!」
「へっ!? えぇっ!?」
こうして私達の役割分担が決まった。
私は解体なんてしたくないからね!
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