第129話 不穏な気配

 お互いの役割分担が決まった私達は、その後も魔物を狩り続けた。


「ホーンラビットですね」


「行きます!」


 スカッ...


「うぅ...」


「ど、ドンマイ! セリカさん! 私が倒すんで解体ヨロシク!」


「は、はい...」


「今度はワイルドボアですね」


「今度こそ!」


 スカッ...


「うぅ...」


「お、惜しかった! セリカさん! 私が倒すんで解体ヨロシク!」


「は、はい...」


 とまあこんな感じで、気が付けば結構な魔物を倒していた。セリカさんは相変わらずだったが...


「セリカさん、今日はこの辺りで引き上げましょうか?」


「は、はい...あ、あの...カリナさん...本当に申し訳なかったです...自分でもこんなに何も出来ないとは思ってなくて...ホントに情けないです...」


「何言ってるんですか! セリカさんはちゃんとやるべきことをやってるじゃないですか! 私じゃ魔物の解体が出来ないので、いくら倒してもお金にならないんですよ? 要は適材適所ってことです。胸を張っていいんですよ? 私達はチームなんだから、お互いに足りない所を補い合って行けばいいんですよ!」


 実際、セリカさんは魔物の返り血浴びて全身血塗れだもんね。私にゃとても真似できんわ。


「うぅ...カリナしゃーん!」


 うんうん、分かったから。そんな血塗れの体で泣きながら抱き付いて来ようとしないで! 思わず亜空間に避難しちゃったじゃん!


「か、カリナしゃん...や、やっぱり私なんか...」


「違います! セリカさん! まずは血を拭って下さい!」


 そう言って私はタオルを投げ付けたのだった。



◇◇◇



 次の日も私達は森の中に居た。セリカさんの訓練のため...と言えば聞こえは良いが、要は今日も女性の護衛依頼が無かったからだ。


 だがそうは言っても、昨日1日で結構稼いだので、依頼が無くても魔物を倒して行けばなんとか暮らして行けそうだなと思ったりした。 


「それじゃあ今日もまた昨日と同じように行きますか!」


「は、はい! よ、よろしくお願いします!」


 そう言って張り切るセリカさんだったが、私は森の中に入ってすぐに異変に気付いた。


「セリカさん、なんだか変です。やけに静か過ぎると思いません?」


「そう言われてみれば...鳥の鳴き声もしませんね...」


 その時だった。


 ズン...ズン...ズン...ズン...


 そんな足音を響かせながら何か大きな者が近付いて来る。


「セリカさん、こっちに」


 私はセリカさんを亜空間に引き込んだ。


 藪をかき分けこちらに向かって来るのは...


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