第127話 ポンコツな相棒

 ゴブリンが出るのは、王都から程近い森の中だと言う。


 私達は早速分け入ってみた。


「あ、第1ゴブリン発見!」


「そんな...村人じゃないんだから...」


 セリカさん、ナイス突っ込み!


「早速殺りましょう!」


「はい! 行きますよ~!」


 セリカさん、最初は弓矢で攻撃するようだ。うん、理に適ってる。ゴブリンまだこっちに気付いて無いもんね。


「行きます!」

 

 ビュン! ヒョロヒョロ~ スカッ...


 あ、外した。そんでゴブリン逃げた。


「せ、セリカさん!?」


「ちょ、ちょっと久し振りだったんで感覚が...つ、次は大丈夫です!」


 久し振りって言っても普通この距離で外すかな?


「あ、またゴブリン出ましたよ?」


「こ、今度こそ殺ります!」


 今度は小刀構えて正面から真っ向勝負ね。


「グギャアッ!」


 対するゴブリンは棍棒みたいなのを振り上げて掛かってくるけど、まぁ言ってもゴブリンだし別にビビッたりは...


「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!」


 思いっきりビビッとるや~ん! あ、堪らず瞬間移動した。うんうん、ちゃんとゴブリンの後ろに回り込んだね。後は急所に一発入れて仕留めるだけ。


 スカッ...


 ...をいをい...その距離でどうやったら外せるんだよ...


 ...これはヤバい...私の選んだ相棒はとんでもないポンコツなのかも知れない...



◇◇◇



「えっと...セリカさん...」


「...す、すいません...」


 セリカさんが小さく見える。元々ちっちゃいけど尚更ね。


「フウ...まぁとにかくですね、実戦あるのみだと思うんですよ?」


「...は、はい...」


 その時、ちょうど上手い具合にコボルトの群れがやって来た。小鬼とも呼ばれるゴブリンが人間の子供のぐらいの大きさだとすると、コボルトはせいぜい中型犬ぐらいの大きさしかない。普通に戦って楽勝の相手だ。


 私は亜空間にセリカさんを引き込み、コボルトの群れの真上に移動する。


「いいですか? セリカさん? 今から群れの真ん中にあなたを落とします。瞬間移動で逃げたりしないでちゃんと倒して下さいよ?」


「お、落とすってそんなぁ~...」


「そんな情けない顔をしない! 獅子は我が子を千尋の谷に落とすって言うでしょ! 覚悟を決めなさい!」

 

 カッコ付けてるけど相手コボルトだからね? そんな試練とか大袈裟なもんじゃないって。


「うぅ...」


 まだ覚悟完了してない様子のセリカさんを問答無用で落とす。


「行ってら~」


「みぎゃあああっ!」


 ...3分後、コボルトにボコボコにされたセリカさんがその場に倒れていたそうな。めでたしめでたし。


 ダメだこりゃ!

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