第121話 衝撃の発言

 信号弾に釣られて賊の最後の一人が戻って来た。

 

 私は満面の笑みを浮かべて出迎える。


「なぁっ!? お、お前、どうやって外に出た!?」


「さぁ~♪ どうやったんでしょうね~♪」


「こ、このぉ~! 舐めやがってぇ~!」


 挑発したら剣を抜いて掛かって来たんでバインドロープを投げ付けて拘束した。


「な、なんじゃあこりゃあ!?」


 さっきの男と全く同じ反応だったので笑える。お前らは松田○作か。


「カリナさん! よくぞご無事で!」


「こふっ!?」


 セリカさん...いきなり瞬間移動して来ないでよ...あぁ、ビックリした...それと胸に顔を埋めるのも止めて。苦しいから。


「カリナさん! 怪我はありませんでしたか!?」


「はい、ナタリアさんは大丈夫でしたか!?」


「えぇ、セリカさんが守ってくれましたから」


 良かった良かった。上手く行ったみたいだね。


「それで!? 誘拐団はどうなりました!?」


「二人残して全員始末しましたよ」


「二人!?」


「あぁ、洞窟の中にもう一人居るんです。それとは別にもう一人」


「もう一人!?」


「後で説明します。セリカさん、いい加減離れて?」


「あぁ、すいません! つい嬉しくて...」


 私はまず亜空間から御者の男の人を引っ張り出した。


「お待たせしました。賊は始末しましたんで、馬車のお世話をお願いしていいですか? そのままにして来ちゃいましたんで。馬は勝手に走って行かないと思いますが念のため」


「わ、分かりました!」


 亜空間の一部を可視化しておいたから、外の状況は見えていただろう。御者を見送ってから私達は洞窟に向かった。拘束した賊の一人は亜空間に放り込んでおいた。


「ヒルダさん、お待たせしました。こちらが先程説明しました私の雇い主、ナタリアさんと私の相棒のセリカです。ナタリアさん、こちらはヒルダさん。被害者のお一人でやはり商家のご令嬢だそうです。この檻に入れられていました」 


「そうだったんですね...ヒルダさん、怖かったでしょう...大変な目に合いましたね...」


「えぇ、もうダメかと思いましたが、カリナさんが助けてくれました。命の恩人です。本当にありがとうございました」


「いえいえ、仕事ですので」


「あ、あの、カリナさん...」


「どうしました?」


 賊の一人を繁々と見詰めていたセリカさんが青い顔をしている。


「わ、私、この人知ってるかも知れません...」


「本当ですか!?」


 私は賊の目出し帽を取った。髭面ではあるがまだ若い男だ。


「やっぱり...この人冒険者です!」


 セリカさんの発言は衝撃的だった。

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