第115話 空間魔法修行中?
私達は町を出て誰も居ない平原に赴いた。
「ではセリカさん、早速始めましょうか。まずセリカさんの魔法を見せて下さい」
「は、はい、では収納している私物を出しますね? エイッ!」
そう言ってセリカさんが虚空に手を掲げると、小刀や弓矢、杖などの武器が現れた。セリカさんの使っている武器なんだろう。
私は亜空間から大きな風呂敷を取り出した。平原に広げる。
「セリカさん、ここに収納している物を全て出して貰えますか?」
「す、全てですか!?」
「はい、全て」
「わ、分かりました...ちょっと恥ずかしいけど...エイッ!」
すると風呂敷を上に着替えや下着、歯ブラシやコップなどの生活用品。パンや飲み物、お菓子や干し肉と言った食料品。大量の本などが溢れた。
「これで全部ですか?」
「は、はい。もう何も残っていません...」
「では魔力を切って下さい」
「へっ!?」
「何も入っていないなら空間を維持する必要無いですよね? だから魔力を切って下さい」
「で、でも! 切ったら二度と空間が開けなくなりません!?」
あぁ、やっぱりね。そこから勘違いしてたのか。
「大丈夫ですよ? そんなことにはなりませんから。私を信じて下さい」
「うぅ...で、でも...」
「セリカさん、思い出して下さい。さっき私の亜空間の中に入った時、セリカさんの空間はどうなりましたっけ?」
「どうって...空間を開けなくて...あっ!?」
「ご理解頂けましたか? あの時、セリカさんとセリカさんの作り出した空間とは、一時的に繋がりが切れていたんですよ? でもほら、こうやってまた繋がったじゃないですか?」
「言われてみれば...」
「そもそも今までだって、起きてる時はともかくとして、寝ている間はどうだったんです?」
「あう...」
やっと気付いたみたいだね。寝ている間もずっと魔力を使い続けるなんて無理だもん。
「さあ、勇気を出して。魔力を切って下さい」
勇気出すようなことじゃないんだけどね。
「わ、分かりました...エイッ!」
さっきからその「エイッ!」ってのは必要なのかな? まぁ人それぞれだからいいか。
「ではまた空間を開いて下さい」
「は、はい...エイッ! あっ! ひ、開きました!」
うん、そりゃ開くだろうね。そう言ったじゃん。
「ね? ずっと魔力を使う必要なんて無いんですよ?」
「そ、そんな...わ、私の今までの苦労って一体...」
セリカさんが崩れ落ちちゃったよ。まぁ無理もないけど。空間魔法を使える人の方が稀だからねぇ。誰も教えてくれないもんねぇ。まぁそれは私も同じだけど。
空間魔法の使い方を効率化するだけで、これからセリカさんの冒険者としての幅が広がりそうだね。
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