第114話 空間魔法談義

 私は人通りの無い裏路地にセリカさんを誘い込んだ。


「セリカさん、今から私の魔法をお見せしますのでビックリしないで下さいね?」


 先に言っておかないとビビらせちゃうからね。私は亜空間を作り出し、ポカンとしているセリカさんの体に触れ亜空間に引き込んだ。


「へっ!? な、なに!? なにが起こったの!? ここは誰!? 私はどこ!?」


 うん、言っても意味なかったかも。大分混乱していらっしゃる。まぁねぇ、初めて亜空間に来た人って大体こんな感じかなぁ。


「落ち着いて下さい。これが私の魔法です。亜空間を作り出すことが出来るんです。私達が今居るこの場所が亜空間です。ほら、こうすると外の様子が分かるでしょ?」


 そう言って私はいつものように亜空間の一部を可視化した。


「か、カリナさん...これ凄いです...同じ空間魔法でも私のとは全然違う...」


「だと思いました。さっき話しててなんか違和感を感じたんですよね」 


 それもビンビンにね。


「違和感...ですか?」


「えぇ、セリカさん。この空間でセリカさんの空間魔法が発動するか試してみて下さい」


「は、はい。やってみます...あ、あれ? 収納している物が取り出せません...」


「やっぱり...同じ空間魔法でも使える空間が違うんですね。思った通りでした」


「えっ!? あ、あの、どういう意味でしょうか...」


 あぁ、そりゃ意味分かんないよね。ちゃんと説明しないと。


「セリカさん、今現在私がこの亜空間を維持するのに、どれだけの魔力を使ってると思いますか?」


「えっ!? あ、えっと...これだけの空間を維持するんだから、かなり膨大な魔力を消費してるんじゃないんですか?」


「答えはゼロです」


「えっ...えぇっ...えぇぇっ!? う、ウソですよね!?」


 凄いビックリしちゃったね。


「ウソじゃありません。魔力を使ったのは、この亜空間を作り出してセリカさんを引き込んだ時だけで、あとは一切使ってないんですよ」


「し、信じられない...」


「ちなみにこの亜空間は、一度発動すると私が解除するまで、あるいは私が死ぬまで消えることはありません」


「そ、そんなことまで...」


「はい、私はこの亜空間を応用した、亜空間シールドという魔法を作り上げたんですが、今現在そのシールドを隣国に居る方に掛けたままになっています。もちろん魔力は使ってません」


 アクセル様のことね。お元気かなぁ。

 

「......」


 ありゃ、セリカさん沈黙しちゃったよ。


「セリカさん、私に出来るんだから、きっとセリカさんにも出来ると思うんです」

 

「そ、そうでしょうか...」


「えぇ、だから修行してみませんか? 私も同じ空間魔法使いとして何か手助け出来ると思うんです」


「えっ!? い、いいんですか!? ご迷惑じゃ...」


「迷惑なんてとんでもない。喜んでお手伝いしますよ?」


「あ、ありがとうございます!」


 こうして空間魔法の修行をすることになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る