第109話 帰還

 まず私はセバスチャンをバインドロープで拘束した。


「ぬおっ!? な、なんだこれは!?」


 背中を蹴り付けて床に這わせた後、すぐ亜空間に放り込む。


「えっ!? な、なに!? なにが起きたの!?」


「ゆ、幽霊か!? 幽霊の仕業なのか!?」


 次に私は混乱の極みにある二人の内、破落戸の男をセバスチャンと同じようにバインドロープで拘束した。


「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ! お、お助け~!」


 うるさい男の後頭部を蹴り上げて黙らせた後、亜空間ヘ放り込む。残るはイレーナただ一人。


「い、嫌ぁぁぁっ!」


 パニックって逃げ出そうとするイレーナの足を引っ掛けて転ばせる。


「へぶしっ!」


 イレーナが奇声と共に床を這う。私はその上に馬乗りになった。


「あらぁ~? イレーナ様ぁ♪ 一人だけ逃げようなんて、そうは問屋が卸しませんよ~♪」


「えっ!? えっ!? そ、その声はまさか!? カリナ!?」


「は~い♪ カリナですよぉ~♪ 覚えて頂いて光栄ですわぁ~♪」


「な、なんであんたがここに!?」


「どぉしてだと思いますぅ~♪ その足りない頭で考えて下さいなぁ~♪」


「あ、あんたまさか!?」


「はい~♪ イアン様のご依頼で、悪いヤツを捕まえに来たんですよぉ~♪」 


「ぬなぁっ!? わ、私を騙してたのね! 許さない! 許さないわ! あんたなんか殺してやるから!」


「あらぁ♪ 威勢のよろしいこと♪ 出来るもんならやってみなさいなぁ~♪」


 うるさいんで後頭部を殴り付け黙らせた。


「ぐげっ!」


 そして亜空間ヘ収納! 良し! これにて一件落着!


 私はその足でイアン様のお屋敷に戻った。



◇◇◇



 次の日、イアン様のお屋敷に到着すると、


「カリナっ!」「カリナさんっ!」


「ぐぇっ!?」


 い、いやさ、イアン様もクリス様も心配してくれてたのは分かるんだけどさ、二人していきなり抱き付いて来られても...思わず変な声が出ちゃったじゃんか...


「あ、あの...お二方ともちょっと落ち着いて...」


「あぁ、スマン! つい...」「あぁ、ごめんなさい! つい...」


 いやあんたら息ピッタリだな!


「ふぅ...ご心配お掛けしました。カリナ、ただ今戻りました」


「「 お帰りなさい! 」」

 

 またまた息ピッタリだな!


「イアン様、どこかお部屋をお貸し頂けますか?」


「あぁ、もちろん! ん? ということは...」


「はい、亜空間に三人ほど拘束してあります。証拠もバッチリです」


「ありがとう! 良くやってくれた!」


 うんうん、上手く行って良かったよ!


 その後、イレーナ達をイアン様に引き渡して任務完了!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る