第96話 一丁上がり
「マリス様、大丈夫ですか!?」
さすがにショックが大きかったのか、マリス様の顔色は真っ青通り越して真っ白になっている。無理もないよね。まぁでも、この輩どもを護衛として手配したのが婚約者だった時点で、この結果はある程度は予想できたことだったよね...
「えぇ、すいません...大丈夫です...」
とても大丈夫には見えない。私はマリス様に提案することにした。
「マリス様、私が手綱を握ります。マリス様は後ろで見守って貰っていいですか?」
せっかく教えて貰ったからね。お手前を披露したいから。
「...ありがとうございます...お願いします...」
その後は自分で言うのもなんだが、特に危なげなくマリス様の領地に到着した。
◇◇◇
「ま、マリス! な、なぜここに!?」
マリス様の領地、オコネル領の領主館に到着した私達を出迎えたのは...
「...ユング様...」
コイツが黒幕のユング・カスパー男爵か...フフフッ♪ 鳩が豆鉄砲を食ったような顔してるね♪ そりゃそうだよね♪ 本当だったらさ、悲しんだフリしてマリス様の死体とご対面するつもりだったんだろうから♪ 残念でした♪
「...なぜここに? とはご挨拶ですね...私がここに居たら何か問題でも?」
マリス様の声は初めて聞くような冷たい声だ。
「い、いや、そういう訳ではないが...」
カスパー男爵は歯切れが悪い。まぁ当然だが。
「...私を殺し損ねて残念ってことですか?」
「なっ!? 何を言うんだ!?」
「...言葉通りの意味ですが? 私の両親を殺したように上手く行かなくて残念でしたね?」
「なっ!? 何を言ってるのか分からないな...」
カスパー男爵は顔から滝のような汗を流してる。プークスクス♪
「...惚けても無駄ですよ...カリナさん?」
「は~い♪」
私は亜空間からあの男を取り出す。もちろんバインドロープで拘束済み。
「ぬなっ!?」
いきなり何も無い所から縛られた男が現れて、カスパー男爵の目が点になる。
「...この方が全て白状しましたよ? それでもまだシラを切りますか?」
カスパー男爵はしばらく下を向いて俯いた後、物も言わずに剣を抜いて斬り掛かって来た。それをある程度予期していた私は、慌てずにマリス様を亜空間に避難させた。
「な、なにぃ!?」
マリス様がいきなり消えて、混乱しているカスパー男爵の後頭部を殴り付けて昏倒させる。
「ぐあっ!?」
カスパー男爵をバインドロープで拘束して一丁上がり!
いやあ、良い仕事したなぁ~♪
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