第75話 クーデター後始末3
ミネルバが去った後、部屋はまたしても重い雰囲気に包まれた。
「カリナ、残りは近衛騎士団の詰所で出そう」
「分かりました」
私達は国王夫妻に断りを入れて出て行こうとした...んだが...「カリナちゃ~ん! 行かないで~!」と叫んだ国王陛下が王妃殿下に鉄拳制裁を食らっていた...懲りない人だ...ついさっきまでの威厳たっぷりだった姿はどこ行った?
◇◇◇
近衛騎士団の詰所は大騒ぎになっていた。クーデターに加担したのは、ほとんどがアッシュ殿下の配下だった。つまり近衛騎士団の騎士服を着てはいたが、中身は偽物だった訳だ。
だが近衛騎士団の内部にも裏切り者が何名か居たらしく、騎士団長が殴り倒されて執務室に拘束されていたそうだ。
指揮系統が乱れた為に初動が遅れ、そのせいで被害者が増えたとのことだ。クーデターは綿密に計画されていたことが明らかになった。
騎士団長がまだ目を覚まさないので、アクセル様が臨時代行することになった。
「バインドロープを出来るだけかき集めてくれ。それと取り調べ室じゃ狭過ぎるからもっと広い部屋を確保するように。犠牲者は死体安置所に運べ。怪我人は居るか?」
アクセル様が矢継ぎ早に指示を飛ばす。混乱も大分収まって来たようだ。
「殿下、大会議室を確保しました。それとありったけのバインドロープも」
アラン様がバインドロープを両手で抱えながら報告して来た。
「分かった。カリナ、済まんがアランと一緒に大会議室まで行って、一人一人バインドロープで拘束しながら出して貰えるか?」
「分かりました」
◇◇◇
約30人を拘束しながら亜空間から放り出す。ちなみにこの内の約10人は、ミネルバの配下の人達だ。アラン様によると、ミネルバ達の行動はクーデターと関わりはなく、偶然同じ日に決行しただけとのこと。
ただ偶然と言っても、舞踏会が開かれる日を狙ったのは同じ理由だったみたいだ。どうしても警備が舞踏会の会場てある大広間に集中しちゃうから、その間隙を縫って犯行に及んだらしい。
ちなみに舞踏会どころじゃなくなったんで、今夜の舞踏会は中止になったとのこと。あれだけダンスを練習したのに残念だけど仕方ない。
ドレスを着る為の、侍女軍団からの磨き上げがなくなったことに関しては、正直言ってちょっとホッとしているけどね。朝から磨き上げられたら、舞踏会が始まる頃にはヘトヘトになってたんじゃないかって思ってたから。
今頃王宮では舞踏会中止の連絡を参加する貴族に知らせる為にてんてこ舞いだそうな。お疲れ様。
さて、最後に残ったのは...
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます