第51話 空間回復魔法?
その後、陛下の病室をお暇しようとすると陛下が嫌がり「なんだったらカリナちゃんだけ泊まっていっても」と言った途端、アクセル様と王妃様にど突き回されていたけど大丈夫かな...
病人なんだから優しくしてあげないと...それに国王陛下をど突き回していいの? 陛下の威厳って一体...
そんなこんなで陛下の病室を出て、離宮の回廊を歩きながらアクセル様が言う。
「しかし驚いたな。空間魔法にあんな使い方があるなんて。まるで治癒魔法みたいだった」
「いえいえ、さっきも言いましたけど、あれはあくまでも対処療法ですので」
症状を緩和させただけだからね。
「それでも凄かったよ。空間治癒魔法? って感じがした」
「傷口を塞いだり血を止めたりは出来ないので治癒とは呼べないかと」
それは空間をどうにかしたって到底無理だからねぇ。
「じゃあ空間回復魔法だな」
「微妙な名前ですね」
なんか間延びしてるし。
「それにしてもカリナ、随分慣れていたようだったけど、以前からやっていたのかい?」
「えぇ、元実家に居た頃、ほとんどの使用人は私を蔑ろにしてましたけど、その中にも何人かは私に優しくしてくれた人も居たので、その人達を相手に試していました。ただ...」
「ただ?」
「先程の王妃様のように女の人には感謝されたんですが、男の人には微妙な感じでしたねぇ」
「それはまたなんで?」
「なんて言ったらいいんでしょうか。プライドを刺激しちゃったみたいで、例えば肩凝りを指摘すると『俺はそんなに年寄りじゃない』とか『俺はそんなに柔じゃない』とか、男の人は弱みを知られるのが嫌だったみたいですね」
そんなに気にすることじゃないと思うけどねぇ。変なプライドよりも体調管理の方が大事じゃないのかなぁ。
「あ~...なるほど...分かる気がする...ちなみに俺は? どこか悪い所ない? 指摘されても嫌な顔しないから言ってみて?」
「特にありませんからご心配なく。というか、アクセル様のお歳でなにかあったら大変です」
「良かった...ホッとしたよ...」
「私もホッとしました。男の人は指摘されるだけで嫌がったりしますから。特にアレを指摘されると露骨に嫌な顔しましたね」
「アレとは?」
「尿管です」
「にょ、尿管!?」
「はい、男の人は女の人に比べてその...尿管が長いじゃないですか」
アレが付いてる分だけね。
「あぁ、確かに...」
「尿管に石が詰まることを尿管結石っていうんですが、女の人より男の人の方がなり易いんですよ。そうなるともう地獄の苦しみを味わうそうで」
「そ、そうなんだ...」
アクセル様が内股になって股間を抑えてる。こんな話聞かされたらそうなるよね。
「えぇ、そうなるには栄養の片寄った食事を続けたり、不規則な生活を送ったりとか様々な外的要因もあるんですが、中には遺伝的に生まれつき尿管の細い人もいるんです。そういう人は詰まり易いんで気付いた時には指摘してあげてたんですけど...」
そこで私は股間を抑えてるアクセル様の股間に注目する。
「アクセル様の尿管、若干ですが細いようです。今の内に広げておきますね」
「ちょっ!? 待っ!? か、カリナ!?」
待たない! 尿管拡張!
「あぁ~! な、なんか来るよ~! あ、熱いよ~! お、おかしくなっちゃう~!」
いやそんな悩ましげな声を出されても...あくまで医療行為ですからね? 如何わしいお店とかじゃないんだから。
「はい、終わりましたよ?」
「うぅ...もうお婿に行けない...」
いやいや、アンタは嫁を貰う立場だろ?
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