第41話 ミネルバ退場

 翌日、アクセル様はミネルバを呼び出した。


 自らの手で引導を渡すためだ。


 ちなみにミネルバは、自分の手の者が既に全員捕まっていることをまだ知らない。アクセル様が公表を控えているからだ。


 手の者と連絡が取れないのを不安に思って、ミネルバが呼び出しに応じないかもと危惧していたら、全くそんな様子はなくあっさり現れた。


 どうやらそんなことよりも、アクセル様に呼び出されたという喜びの方が勝っていたらしい。ちなみに私は、アクセル様の合図があるまで亜空間に隠れて待機している。


 最後の瞬間までミネルバに期待を持たせておいて、そこから奈落の底に突き落とすというなんとも性格の悪...ゲフンゲフン...と、とにかくそういう作戦である。


「アクセル様ぁ~♪ 本日はぁ~♪ お招き頂きましてぇ~♪ このミネルバぁ~♪ とっても嬉しゅうございます~♪」

 

 え~...まだこのキャラ続けんの? とっくに化けの皮剥がれてんのに? ある意味徹底してて凄いとは思うけどさぁ...最後の最後までミネルバはミネルバなんだね...


「あぁ、良く来てくれた。掛けてくれ」


 アクセル様は無表情を貫いてるね。


「あらぁ~? 護衛の女の方がぁ~♪ いらっしゃいませんけどぉ~? どうされたんですかぁ~?」


 なんともまぁ...白々しい演技だこと...


「あぁ、彼女は昨日、ちょっとした事故に合ってね」


「そうなんですかぁ~? それは御愁傷様ですぅ~♪ やっぱりぃ~♪ 女の人にはぁ~♪ 護衛なんてぇ~♪ 無理だったんですよぉ~♪」


 勝手に殺すな! アクセル様は事故としか言ってないだろ! まぁ、物の見事に語るに落ちた訳なんだが...やっぱこいつアホだわ...


「おや? 俺は事故としか言ってないが、どうして死んだと思ったのかな?」

  

「そ、それはほら...き、危険なお仕事ですし、そ、そうなんじゃないかなぁって思ってですね...」


 急にしどろもどろになってちゃ怪しまれちゃうよん♪


「君が指示したからじゃないのか?」


「なななななにを~おおおおおっしゃって~いいいいいるのか~わわわわわかりませんわわわわわ」 


 いや、動揺し過ぎだろ! 同じ言葉が多過ぎて意味不明になってんぞ?


「はぁ...もういい...カリナ」


「は~い♪」


 呼ばれて飛び出てバインドロープをビビッとな♪ ミネルバの捕縛完了~♪ ちなみにカイル様から借りて来た。


「なぁっ!? あ、あんた生きて!? な、なによこのロープは!?」


「君が雇った連中が全て吐いた。観念するんだな」


「ぬあっ!?」


「それと俺の婚約者候補だった令嬢達を不当に貶めた件もある。被害に合った令嬢達の中には可哀想に、まだトラウマを抱えている娘も居るくらいだが、君が逮捕されると聞いて喜んで証言してくれるそうだ。良かったな? 余罪がどんどん増えるぞ? その他にも叩けばまだまだ埃が出そうだ。覚悟するんだな。取り調べは甘くないぞ?」


 ミネルバは完全に俯いてさすがにショックを受けてるみたいだね。


「...してやる」


 えっ!? 今なんて!?


「殺してやる! 全部あんたのせいよ! あんたが来てから何もかもがおかしくなったわ! 覚えてなさい! 殺してやる! 絶対殺してやるんだからぁ!」


「連れて行け!」


 外に待機していたカイル様とアラン様が、暴れるミネルバを連行して行った。


 ふぅ...最後まで後味の悪い女だったね...

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