第40話 黒幕は...

 その後、観念したのか賊どもはポツリポツリと白状し出した。


「その...ミネルバお嬢様の指示で...カリナ...様を...害するようにと...」


「近衛騎士団の騎士服はどうやって手に入れた?」


「...ミネルバお嬢様が...その...公爵様の指示だと...偽って...入手したようです...」


「王宮への潜入はどうやった?」


「...ミネルバお嬢様の...王子妃教育の際...それぞれが...護衛と執事として...」


「いくらなんでも数が多過ぎるだろ? 不審に思われなかったのか?」


「あの...ミネルバお嬢様が...門番に金を...握らせてました...」


「...良く分かった。カイル、連れて行け」


 カイル様が賊どもを引っ立てて行った。牢屋に入れるのだろう。アクセル様はグッタリとお疲れのご様子だ。無理もない。これまでも散々ミネルバに引っ掻き回されて来たんだろうから。


 かくいう私も気分の良いもんじゃない。ミネルバにはこれまでもずっと敵意を向けられて来たけど、ここまであからさまな殺意を向けられたのは初めてだったから。


 そんな思いが顔に出てたんだろう。アクセル様が気遣ってくれた。


「カリナ、大丈夫か? 済まんな...俺の婚約者候補がこんな様で...迷惑を掛けた...だがそれも今日までだ」


「えぇ、分かっています。私なら大丈夫ですよ。お気遣いなく」


「それなら良かった...ところでアラン、例の衛兵に化けてた連中だが、その後の捜査はどうなっている? 何か進展はあったか?」


「申し訳ありません。今のところ手掛かりはまだ何も掴めていない状況でして...」


「そうか...」


 そう言ってアクセル様はまた何やら考え込んでしまった。


「あの..何か気になる点でもございましたでしょうか?」


「...俺の考え過ぎかも知れんが...手口が同じだなと思ってな」


「制服を手に入れて成り済ますところがですか? でもそれだと、アクセル様の命を狙う意味が分からなくなりませんか? ミネルバ嬢はアクセル様と結ばれたいのでしょう?」


 そうだよねぇ。本末転倒もいいところだよ。


「仮にだ、爆弾犯とその後の襲撃犯を全くの別物だと考えてみたらどうだ? あのタイミングで襲撃が重なったのは偶々だったと。それなら襲撃犯が爆弾のことを知らなかった件に関して説明が付くだろ?」


「それは.. 確かにそうですが...」


 その発想はなかったなぁ。単に知らされていないだけかと思ってたよ。


「とにかく、その線でもう一度捜査を進めてみてくれ」


「分かりました」


 まぁ取り敢えずミネルバの有罪は確定したから、後はどれだけ余罪が出て来るかだね。


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