第14話 任務のお誘い
迷った末、私はアクセル様に全てを打ち明けることにした。
この人になら知られても大丈夫だろう。特に根拠はないがそう感じたからだ。それと...誰かに聞いて貰いたかったのかも知れない。
私が語る長い話を、アクセル様は時折眉を顰めながら黙って聞いてくれた。私の話が終わってからしばらく間をおいて、アクセル様が口を開いた、
「なんて言ったらいいのか...その...大変だったな...」
「えぇ、まぁ、でも...もう終わったことですから。今はスッキリした気分ですよ?」
「色々と確認したいことはあるが、まずは...本当にまだ10歳なのか!?」
一番気になるところがそこなのね...
「アハハ、やっぱり気になりますか? 子供の時から...って、今もまだ子供ですけど、実際の年齢より上に見られていたんですよね。もう慣れましたけど」
「そ、そうなのか...」
そうなんですよ。
「まぁ、そのお陰でここまで来れたとも言えますけどね。子供の一人旅なんて危ないって、どこかで止められていたかも知れませんし」
「確かに...そのお陰で俺も命を救われたってことになるな」
なにが幸いするか分かんないね。
「アハハ、そうなりますね」
「話は変わるが、カリナ。家とそれから国に対する未練はあるか?」
「ありませんね。あの家にも国にも。全て捨てました。未練はありません」
キッパリさっぱり。
「そうか。カリナが望むなら、君を貶めたヤツらに鉄槌を下して、君の名誉を回復させることに尽力してもいいと思ったんだが」
「望みません。たとえ私の名誉が回復したとしても、魔力契約を交わした以上、もう私が伯爵位に戻ることはありませんので」
取り消し利かないからね...
「そうか、良く分かった。それじゃあこれからの話をしよう」
「これからですか?」
「あぁ、カリナに提案したいことがある。俺の護衛にならないか?」
「護衛って...私、剣とか振れませんよ?」
筋力無いもん。
「いや、あの空間魔法だけで十分だよ。たとえ俺が暗殺者に狙われても、あの魔法があれば助けられるだろ?」
「まぁ、そうなんですけど。一つ問題が...」
「問題って?」
デリケートな問題よ。
「私が触れた人しか亜空間に引き込めないんです」
「そうなのか? だったら尚更俺の側に居て貰わないとな」
そう来るかぁ~
「それとこれは命を救ってくれたことに対するお礼も含んでいるんだが、護衛を引き受けてくれたら、王宮内に部屋を用意する。侍女も付ける。カリナが望むなら貴族としての身分も保証しよう。どうだろうか?」
私は考えてみる。お礼含みとはいえこれは破格の待遇だろう。気ままな冒険者暮らしもいいが、安定した生活を手に入れるというのもまた捨て難い。だがそれとは別に、確認しておくべきことがありそうだ。
「アクセル様、もしかして命を狙われる心当たりが?」
「さすがに鋭いな。その通り。これからキナ臭くなりそうなんだよ」
やっぱりそういうことか。この王子、意外と腹黒いな。まぁ、それでも...
「分かりました。お引き受けしましょう」
「そうか! 引き受けてくれるか! ありがとう!」
どういたしまして。
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