第13話 束の間の休息

「殿下~! よくぞご無事で~! って、怪我してるじゃないですか! 我々を撒こうなんてするからです! 自業自得ですよ! あぁ、全くもう! 我々がどれだけ心配したか分かってるんですか!? 大体殿下はですねぇ...」


 王子様...もといアクセル様が、護衛の方々に延々とお説教されている。自分が悪いことをしたという自覚があるアクセル様は「悪かった」「ホントにゴメン」「もうしませんから」などなど、時折謝りながら素直に怒られている。


 それを傍で見ていた私は、なんだか良い主従関係だなと思ってちょっとホッコリした。しばらくして、やっと私の存在に気付いたのか誰何してきた。アクセル様が私のことを命の恩人だと紹介したら、メチャクチャ感謝された。


 涙を流さんばかりにお礼を言われて、逆にこっちが恐縮したくらいだ。その後、私はアクセル様の怪我の状態を説明した。動かすと傷口が開いてしまうだろうということを。すると幸いなことに、護衛の方々の内お一人が治癒魔法を使えるとのこと。


 治癒魔法のお陰でアクセル様は動けるようになった。ただ出血が酷かったので、まだ多少ふらついてはいる。それでも馬に乗るのに支障は無さそうなので、アクセル様が滞在している別荘に戻るという。当然ながら私も一緒だ。その後に王都へ向かうらしい。


 藪を抜け、護衛の方々の馬を止めてある場所に行くと、アクセル様が喜びの声を上げる。どうやら狼に襲われた時、逃げて行ってしまった馬が戻って来てたらしい。


 ということで今、私はアクセル様と馬に相乗りしてる訳なんだが...アクセル様、距離が近くないですかね? 後ろから抱き締めるように密着されると、さすがに恥ずかしいんですが...最初はアクセル様の後ろに乗ろうとしたら、ガンとして拒否されたんだよね...あぁ、早く着かないかな...



◇◇◇



 別荘とはいえ、さすがは王族が使うだけのことはある。着いた場所はまるでお城みたいにデカい建物だった。私が圧倒されていると、使用人達が集まって来て歓迎を受けた。


 アクセル様は自分の血で汚れた服を着替えるとのことで、いったん別れて私は客間に通された。待っている間、お茶とサンドイッチなどの軽食を用意してくれた。腹が減っていたので正直とてもありがたかった。


 やがて着替え終わったアクセル様は、眩しいくらいのキラキラオーラを纏って現れた。


「待たせて済まない」


「いえ、美味しいお茶とお食事を堪能してましたんで」


「気に入って貰えたなら良かった。ところでカリナ、良ければ君のことを教えて貰ってもいいかな?」


「と言いますと?」


「君のように若い女性が一人で旅をしている理由だよ。冒険者だって言ってたけど、その若さで独り立ちするっていうのは何か訳があったんじゃないかと思ってね。言いたくないなら無理には聞かないけど、良かったら話して欲しい」


 あぁ~...そうだよね、やっぱり不審に思われちゃうよねぇ。どうしよう? 話しちゃっていいのかな...

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