第17話 至難の業だろう

 動画としての基本的な事を教えていると、『マックスJAPAN』の制作デスクの下野が駆け込んできた。


「あァ〜……、どうも!!

 新人アニメーターッて、どの子!?」

 カット袋を手にして、かなり慌てた様子で仕事部屋の中をキョロキョロと探していた。


 メガネを掛けた三十代のイケメンだ。



「あ、下野さん、彼女です」

 僕は手を上げ呼び掛けた。



「あァ……、どうも頼むよ。このカットなんだけど、明日の朝イチで!!」

 僕にカット袋を手渡した。


「ええェ、取り敢えず、中身を確認させてください」

 どんな原画だか、確認しない事には返事が出来ない。

 どうせ、最後は僕がやることになるのだろう。


 受け取ったカット袋から原画を出しパラパラと動きを見た。


「ン……」

 単体のヒロインが走ってカットインして来る。長い髪がなびくような感じだ。


 素人にはヒロインの長い髪が靡く動きは、なかなか高度なテクニックだ。



 ウエストサイズなので、思ったより時間は掛からないかも知れないが、それでも今から20時間後に完成させるのは僕でも至難の業だろう。



「うゥ〜ン……」

 果たして、この動画がスケジュール通りに出来るのだろうか。








☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る