第18話 ちょうど3万で!!

 今から明日の朝まで20時間後に完成させるのは僕でも至難の業だろう。



「うゥ〜ン……」原画を手に持ったまま唸ってしまった。

 果たして、この動画がスケジュール通りに出来るのだろうか。




「どうかな。単価三百で96枚……。

 色をつけて、ちょうど3万円で!!」

 請求書に制作デスクの下野がサインした。



「そりゃァ、値段的には映画の動画クラスだけど……」

 テレビ用の動画よりも劇場版の動画の方が1.5から2倍近く高い。



 値段については文句はないが問題はスケジュールだ。

 他に仕事がなければ、何とかなるかも知れないが。

 こっちも自分の原画のスケジュールが厳しい。

 



「ン……」アランが後ろから僕の袖を引っ張った。


「あァ……、じゃ、見てみろよ」

 原画を手渡した。


 美少女は器用にパラパラと原画をチェックした。まったくのアマチュアではないような手さばきだ。



「フフ……」

 何回かパラパラしたあと、ニッコリと微笑んだ。


「出来るのか? アラン!!」


「……」無言で彼女は頷いた。



「とにかく悩んでいても時間をロスするだけですから。やりますよ」

 仕方なく仕事を受ける事にした。


「ありがとう。じゃ、明日の朝イチに連絡するから!!」



「ええェ……」仕方がないだろう。

 今夜は徹夜で頑張るしかない。









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