第16話 作画監督の中田翔子
デスクの下野からの電話があって、すぐに原画を持ってこっちへ向かったようだ。
その間に僕は亜蘭をスタジオの仕事部屋へ連れて行った。
他のアニメーターはヘッドフォンで自分の好きな音楽を掛けて仕事に没頭している。
ちょうど僕の隣りのアニメーターが辞めたので席が空いていた。
「ここ、使って!! 鉛筆とか消しゴムとかここにある備品は全部、好きに使って良いからね!!
あと、女子のトイレは向こうね!!」
ひと通り作画スタッフを紹介した。
「……」亜蘭は無言でコクリと頷いた。
「僕は隣りで仕事してるから……、わからない事があったら遠慮なく訊いて」
また彼女は小さく頷いて席に着いた。
「なになに、その可愛い子、新人さん……」
こっちに気がづいたのか。一人の女性アニメーターがヘッドフォンを外し声を掛けてきた。
ウチのスタジオのショコタンだ。
本名は中田翔子と言う。
年齢不詳のキャラクターデザイナー兼作画監督だ。趣味でコスプレーヤーをしている。
いつも突飛なアニメキャラのカッコウをしていて目の保養になった。
今日はエ○ァンゲリオンのアスカの恰好だ。よく似合っている。
彼女のコスプレも楽しみのひとつだ。
「うン。この子は亜蘭ちゃん!!
彼女は作画監督の中田翔子さんね」
僕は亜蘭に紹介した。
「ショコタンッて呼んで!! 宜しく。
アラン✨🤗✨✨💕」
満面の笑顔で抱きついた。
彼女は美少女が
まるでペットのように頬にキスをしていた。
「ど、どうも……、ショコタンさん」
しきりに恐縮している。声も囁くように小さい。
やはり亜蘭は極度の人見知りみたいだ。
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