第5話 早く入れてェ……

 文句を言いつつ、いつの間にか自宅の近くまで来てしまった。


 もう僕の家までは目と鼻の先だ。


「ねえェ、早くしてよ。ポー!!

 どの家なの」

 アランは自転車から降りて僕をかした。


「え、いや……、でも」

 しかし、まだ僕は彼女を部屋へまねくのを躊躇ためらっていた。


「早く早くゥ…… どの家?」

 だが僕の腕にしがみついて急がせる。


「あァ……、ちょっと痛いよ。

 僕の家は、そこだけど」

 仕方なくアゴで差した。


「ねえェ、早く入れてよォ……😫💦」

 だんだんと怒ったような口調になった。



「なッ、なにを言ってんだよ。女の子が」

 いきなり『入れて』とせがまれてドキドキしてきた。



「もぉ〜、おシッコ漏れちゃうよ」

 脚をバタバタさせて僕の腕にすがりつくように揺すった。



「お、おシッコォ〜……!!

 マジかよ!! ン……」

 だから急がせるのか。


 さっきまでのん気に自転車を乗り回して、散歩をしていたのに突然、慌ただしくなってきた。



 すぐさま自転車を家の前のスペースへ停車させ、ポケットからキーホルダー付きの財布を取り出した。



「ねえェ……、早く早くゥ!!

 入れてよォ……」

 美少女が僕の横で二の腕に柔らかな胸の膨らみを押しつけ急がせる。



「わ、わかったから……、ちょっと。

 そんなに騒ぐなよ。

 近所迷惑だろう!!」

 僕もかなり興奮気味だ。


 急いで、ドアノブのカギ穴にルームキーをし込もうとするが焦って余計に時間が掛かる。



「すぐに入れてェ……!!

 早く入れてよォ〜ーー……」


「あのなァ……。女の子が『入れて入れて』ッて言うなよ!!」

 こんな悲鳴にも似たことを玄関前で叫ばれては堪らない。



 近所の人に聞かれれば誤解されるだろう。









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