第2話 江ノ島デート……?
砂浜で声をかけてきた少女は江ノ島へ行きたいと言い出した。俺も一緒にと。
砂浜を少し歩き海岸から道路をへと上がる階段を上る。信号を渡り、江ノ島へと歩みを進めた。
「何分くらいでつく?」
「あと30分もかからないくらいかな」
俺たちが今歩いている鎌倉高校駅前から江ノ島までは近いようで結構歩く。
20分ほど歩くと、江ノ島へと繋がる地下道を通った。江ノ島方面という看板になぞらえて地下道を進んでいく。
地下道を出ると、江ノ島へと続く長い橋を渡ることになる。弁天橋だ。
やはり江ノ島だ。橋の上だけでも多くのカップルが見受けられる。
学校帰りのカップル、大学生くらいのカップルと皆、手を繋いで歩いている。
そんな中、弁天橋を歩いてる途中、柏木さんが衝撃な言葉を言ってきた。
「わたしたちも手、繋ご?」
「ぐぅはっっ!」
衝撃的すぎて思わず声に出てしまった。
な、なぜそうなるんだ。
俺たちはさっき会ったばかりだぞ。
「え、そんなに嫌だった?」
俺の反応を見てか、そう聞いてきた。
「ぜ、全然嫌じゃないけど、なんで手を繋ぐんだ?」
「え、だって友達だから、それくらい普通じゃないの?」
いやいやいやいや、全然普通じゃない!
どうなってんだこの子の感性は。
というか、知らない間に友達ということになっていたらしい。
まあ友達のいない俺からすれば嬉しいけど。
「ね?いいでしょ?繋ごう」
「は、はい。」
彼女の可愛すぎる上目遣いに耐えられず俺は手を繋いだ。
彼女の手は天使かというほど白く柔らかく、すべすべだった。
俺はこの日始めて女子と手を繋いだのだ。
弁天橋を渡り終え、江ノ島の仲見世通りへと入った。
仲見世通りはお土産屋や、しらす丼などを提供してる飲食店など様々な出店が赴いている。
そんな中、江ノ島の食べ歩きと言えば
俺的に"これ"というものに出くわした。
これ食べようかといい3、4人ほどの列に並んだ。
順番がきて注文をする。
「たこせんべい2枚お願いします」
「はいよ、800円ね」
そうおばちゃんが言うと、柏木さんがお金をだそうとしたが、いいよ。と言い奢ってあげた。
1分程で出来たてのたこせんべいがでてきた。
大きさはかなり大きい。
多分うちわくらいある。
1枚柏木さんに渡し食べながらまた歩き始めた。
「わっ、美味し〜!」
柏木さんはご満悦の笑みを浮かべたこせんべいをバリバリと食べていた。
「おいしいな」
たこせんべいを食べたのは家族と江ノ島にきた際に食べたので、約7、8年ぶりくらいか。
というか、今更なのだが手を繋ぎながらたこせんべいを食べて歩いている。
これは完全に俗に言う江ノ島デートってやつではないのか?
やばい、やばい、こんなの同じクラスのやつに見られたら完全に終わる。
(どうか同じクラスのやつに出くわしませんように)
そう願っておいた。
仲見世通りを通り終えると目の前には大きい鳥居が現れる。
『朱の鳥居』とか言ったっけ。
「せっかくだから参拝しようか」
「そうだね!」
五円玉を入れ手を合わせたがとくに願うこともなかったので『いじめられませんよう』に。
と願っておいた。
隣を見ると柏木さんはまだお祈りをしていた。
なにを願っているのだろうか。
「終わったよ、次どこ行くの?」
次、次か〜。
俺も江ノ島のことはよく知らないんよな。
江ノ島といえば神社しか思い浮かばない。
「次、も神社行くか」
「他にもあるんだ!」
「そこの階段を上がると辺津宮と中津宮っていう神社があった気がする」
そう言い、辺津宮へと繋がる階段をのぼっていった。
辺津宮へとつき、参拝をする前に『茅の輪』
という、チガヤの草で作ったわっかを通る。
これを参拝前に通ると罪や穢れをお祓いし
心身を清らかにしてくれるという。
俺に罪や穢れはないと思うが、柏木さんが通りたいというので通っておくことにした。
続いて、八坂神社という神社へと差し掛かる
「ね、ここ行きたいなっ」
「いいよ」
柏木さんがそう言ってきたのでここの神社も参拝することにした。
ここでも俺は特に願うこともなかったので
いじめられませんようにと願っといた。
すると、お祈りを終えた柏木さんがにまにましながら俺の方を見る。
な、なんなんだ。
「なんて願ったの〜?」
「いじめられませんようにーって」
あ、やべつい言ってしまった。
「そういうのって願うんじゃなくて自分でなんとかすんもんなんじゃないの?」
ぐ、ぐうの音もでない正論だ。
「おっしゃるとおりです。」
「それにここ、恋愛成就の神社だよ?」
あ、ほんとだ。周りを見渡すと縁結びの絵馬がびっしりと掛けられていた。
正確には縁結び、学問上達、厄除けの神社だそうだが、絵馬に書かれている内容を見る限り縁結びというイメージが強いようだ。
それを知ってか柏木さんは俺がなにを願ったか聞いていたのか。
鈍感系女子だと思ったけど(手繋ごなんて言ってくるし)意外とおませちゃんなところもあるんだな。
「なんて、わたしが言えたことじゃないんどけどね、ごめんね。なんか説教みたいな感じになっちゃって」
「い、いや、柏木さんの言うとおりだと思うよ、これからは自分でなんとかしてみる」
と、言ってもほんとにできるかは分からないけど。
「うん!がんばって!」
「ありがとっ」
そこから俺たちは休憩するために見晴らしのいいウッドデッキへと移動した。
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