第72話
片側二車線の道路の中央に辿り着いたケルベロスの鎌傷が、徐々に癒えているのが目の錯覚ではないことにモートは気が付いてきた。辺りは亡者の群れの腐臭に包まれた。
The end of the world ???
「ほら、お行きなさい……私はここから動けないから……君に期待しているよ」
真っ暗な。そして、凍てつくような狭い場所に男はいた。男がそういうと、狭い場所が更に狭くなるかのような重い呼吸音が辺りを包み込む。
「さあ、君の飼っているペットはきっと、今はウエストタウンにいると思うんだ。なあ、思うんだが……世界が終わる時に一人だけで、この街に立っているとする。その男は一体。何を思うんだろうか? どんな気持ちなんだろうか? 想像を絶するような絶望感に頭を下げるのか? それともただ子供のように泣き叫んでいるのか? それとも……? だけども、私ならきっと……」
男の目の前の人の形をした物体はこう言った。
「何でも望めばいいんだ。もはや世界は君のものだよ」
その物体はウエストタウンの方を向くと霧のように消えた。
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