太陽神の午後

 赤茶けた大地に、緑はまれであった。

 人が近づかない丘に、巨人は腰を下ろし、空を眺めていた。

 巨人の顔は黒く、後ろで束ねている髪は、大地につくほどの長さであった。

 体は針金のように細い。


 近くに住む部族の長が時折り、巨人に捧げ物を贈っていた。

 この地域は降雨が少なかったが、何とか飲み水に困らなかったのは、捧げ物に対する、巨人からの返礼とされていた。

 族長が言うには、かの巨人は、太陽の産み落とした子であり、彼が死ねば、太陽も死ぬ、とのことであった。


 巨人は常に空を眺めていた。

 何かを待っているようであった。


 人々の出した一つの推論は、母である月の女神を待っているのではないか、というものであった。

 巨人と接することができるのは族長だけであったが、決して、夜に出向こうとはしなかった。

 夜、巨人が何をしているのかを知る者はいなかった。

 その話をすると、日ごろは温厚な族長が、ものすごいぎょうそうで怒り出すので、夜の巨人の様子を探ろうとする者はいなかった。


 果たして、黒き顔の巨人は、夜に何をしているのだろうか。

 何を待っているのだろうか。



 独裁者が目を覚ましたのは、昼過ぎだった。

 プールの脇に置かれた簡易ベッドで、いつの間にか、まどろんでいたようだ。

 不思議な夢を見た彼は、呼び鈴を手に取り、お抱えの占い師を呼ぼうとしたが、鈴を鳴らすことなく、元の位置へ戻した。

 さいな理由で家族もろとも処刑してしまったことを、彼は思い出したのだった。

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